日大ラグビー暴行の「釈明」に疑問だらけの訳 部長コメントは保身最優先、大学はだんまりか

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「隠蔽ではない」という主張がありますが、元来「隠蔽」は自分がそのつもりはなくても、周囲からそう思われたら受け入れざるをえないもの。さらに、「これほど事件性の高い内容を外部に公表せず、身内の中だけで済ませる」という発想は保身と思われても仕方がないですし、そもそも部内、学内で解決するのではなく、警察に相談すべき案件にも見えます。

最後に「学生ファースト」を掲げる矛盾

また、ここでもわざわざ「厳重注意処分を受けております」と自らの正当性を主張する文章を入れたのは、多少なりとも後ろめたい気持ちがあるからではないでしょうか。

以上のとおり、今般の報道内容は、既に当部としても把握の上、適切に対応しているものでありますが、当部としては今回の事態を重く受け止め、同対応にとどまることなく、学生スポーツとしてのあるべき姿を実現すべく、日々の運営と指導をさらなる改革・改善を目指し、皆様の信頼を一日でも早く回復できるよう再発防止に向けて全力で取り組んでまいります。
また、当部は学生ファーストの精神を掲げております。現部員には新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、一定の制限はあるものの、部員の「ラグビーをする権利」を尊重すべく適切に活動を続けてまいりますので、皆様にはご理解をいただけますよう何卒よろしくお願いいたします。

ここまで保身を感じさせるような文章を重ねた上で、最後に「学生ファースト」を掲げる矛盾に、これを書いた部長は気づいていないのでしょう。もし本当に「学生ファースト」と考えているのなら、再発防止のために問題が発生した背景や原因をはっきりと説明しておくべきでした。それらがないため、この文章を読んで「今回の問題にきちんと向き合っているな」と感じた人は少ないでしょう。

ここでしっかり膿を出し切っておかなければ、部員たちの心にわだかまりが残るほか、周囲からの理解や協力を得られないなど、再生の第一歩につながりません。誰も「部長に責任を取れ」と言っているわけではないのに、保身がにじむコメントを重ねてしまうところに問題の根深さを感じてしまいます。

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