富士ゼロックス、「複写機逆風」でも手応えの訳 在宅でITツールが伸張、中小企業も高い関心

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富士ゼロックスは2019年に富士フイルムの完全子会社となり、ITツールやITソリューションに注力している(撮影:尾形文繁)
複合機業界が試練を迎えている。大手のコニカミノルタやリコーは2020年4~6月期に200億円規模の営業赤字に沈んだほか、事務機器を主力事業とするキヤノンも四半期で初の最終赤字となった。
オフィスのペーパーレス化が進行し、複合機の市場規模が縮小傾向にある中、新型コロナウイルスが直撃。在宅勤務が一般的になり、オフィスでの印刷需要が激減した。
業界をリードしてきた「ゼロックス」連合の一角、富士ゼロックスは2019年に富士フイルムホールディングスの完全子会社となり、2021年春には社名を「富士フイルムビジネスイノベーション」に変更する。今後の複合機の需要をどうみるか。富士ゼロックスの玉井光一社長に聞いた。

需要の回復は早い

――6月以降、オフィスに出社する人も増えてきました。プリントボリューム(プリント量)の戻り具合はいかがでしょうか。

戻ってきているが、昨年並みに戻るにはあと1つという感じだ。7割くらい戻ってきた。

実際の数字は言えないが、(落ち込み幅が)半分を下回るようなことはなかった。他社と比べて落ち込み幅が小さい理由は2021年3月末まで、富士ゼロックスの販売地域は日本とアジア、オセアニア地域だけで、(新型コロナの影響が相対的に大きく出た)欧米が含まれていないからだ。

――アメリカのゼロックスなど、欧米で展開している他社への製品供給で影響が出たのではないですか。

その影響はあるが、在宅が主流になってITツール等の需要が大きく増えている。日本国内は4~6月の機器販売台数が2019年よりも増えた。5月は厳しかったが、6月にかなり回復している。

中国を中心にアジアの戻りも早い。いち早くコロナの影響が出た中国は、日本と比べて1カ月~1カ月半ほど回復が早い。

一方、ロックダウンがあったマレーシアやオーストラリアなどでは(回復の)遅れもある。例えば、メルボルンなどではコロナが一時的に再拡大した際に周辺地域で影響が出た。

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