富士フイルムHD、「不正会計」の絶妙カラクリ

海外子会社で売り上げのカサ上げが行われた

6月12日、記者会見で謝罪する助野健児・富士フイルムHD社長(右から2番目)(撮影:風間仁一郎)

6月10日。富士フイルムホールディングスの第三者委員会は、海外子会社の不正会計疑惑についての調査報告書を同社に提出した。その全文版には不正の実態が克明に描かれている。

調査報告書は「不適切会計」と多く記述しているが、「不正会計の隠蔽指示」「監査上の重要性の低い監査対象外の会社での不正な会計処理等」など不正会計という記述もある。

単に間違えただけなら不適切会計だが、意図的に悪意を持って正しくない会計処理をすれば不正会計だ。はたして富士フイルムHDのケースは、どちらのケースなのか。

一見すると普通のリース取引&債権譲渡

不正の舞台となったのはニュージーランドのプリンターリース会社MARCOと金融会社FINCOである。両社を合わせて富士ゼロックスニュージーランド(FXNZ)と呼んでいる。

MARCOとFINCOの親会社が、シンガポールにあるアジア・オセアニア地域統括子会社富士ゼロックスアジアパシフィック(以下FXAP)。その親会社が富士ゼロックス(以下FX)、さらにその親会社が富士フイルムHDという複雑な親子関係だ。

MARCOとFINCOの取引は大きく3段階に分けられる。

まず、リース会社のMARCOはプリンターを顧客にリースする。期間は平均48〜60カ月だ。リース料金は毎月のコピー代で回収する。次に、MARCOはそのリース債権を金融会社のFINCOに全額譲渡する。最後にMARCOはリース債権を譲渡することで、債権譲渡と同時に、向こう48〜60カ月分のリース代金の合計を売上高として一括計上する。

これだけならごく普通のリース取引であり、通常の債権譲渡である。問題はリース債権の見積もりにあった。このリース債権をかなり高く見積もることで、実態よりもかなり多い売上高を計上していたのである。

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