「100万円ミラーレス」は本格派に選ばれるか 後発組の富士フイルムがカメラ市場に"一石"
2月28日に、富士フイルムから約100万円の超高額ミラーレスカメラ「GFX 50S」(以下GFX)が発売された。1月19日に開かれた発表会には、古森重隆代表取締役会長・CEOも出席。会場には本社のある東京から遠く離れた京都の二条城があえて選ばれた。
二条城といえば15代将軍・徳川慶喜が大政奉還を行った場所。ハイエンドカメラといえば「フルサイズのイメージセンサーが取り付けられた一眼レフ」というのがこれまでの常識だが、「その状況に一石を投じたい」(飯田年久・光学・電子映像事業部長)という願いを、政治支配体制が変わった大政奉還と重ね合わせたという。
GFXの特長は、付属バッテリー、メモリーカードを含んだ本体が約825グラムと、プロ向け一眼レフの半分程度の重さにもかかわず高画質を実現した点だ。画質を決めるポイントとなるイメージセンサーは、フルサイズ(36ミリ×24ミリ)を上回る中判サイズ(43.8ミリ×32.9ミリ)を採用した。イメージセンサーが大きいほど光を多く取り入れられ、より解像度の高い写真を撮影できる。
「開発でいちばん苦労したのは、中判サイズの大きいイメージセンサーを使用しつつ、いかに小型・軽量にするかという点だった」と飯田氏は話す。本体を小さくするためには光を集める部分も小さくしたいが、レンズ部分にあるイメージセンサーには斜めから光が入ってはいけない。隅々まで光が真っすぐ入るようにするためイメージセンサー部分の形状を変え、少し傾けることで効率よく光を集めるようにしたという。
山岳カメラマンから高評価
製品ができ上がると、発売前にプロに貸し出して感想を聞いた。すると特に山岳カメラマンの間で評価が高かった。小型・軽量で持ち運びが容易な点に魅力を感じたようだ。ほかにポートレートの撮影を専門とするプロにも受けがよかった。富士フイルムのカメラは、もともと肌の色合いをきれいに出すことを得意とするが、イメージセンサーのサイズを従来製品より大きくしたことで、より細やかな表現ができるようになった。
このカメラはプロやアマチュアながら本格的なカメラ愛好家などが対象となる。特にプロに対しては、カメラの性能だけではなく、代替機の貸し出しやメンテナンスなどのサポート体制を充実させることが重要だ。たとえばキヤノンやニコンは、スポーツ大会中にプロの持つカメラが故障した際に同じ機種を貸し出すことで、円滑に仕事を行える体制を長らく敷いてきた。
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