キヤノンは「累計1兆円買収」で変身できるか 「新事業」は、カメラに並ぶ売り上げ規模に

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営業増益トレンドへの復帰に向け、新規事業の育成に力を入れている(撮影:今井康一)

カメラと事務機器のリーディングカンパニーであるキヤノンの事業構成が、2017年度(2017年1~12月)から大きく変わりそうだ。

主力の2事業が停滞する中で大きく伸びを見込むのは、東芝から買収した東芝メディカルシステムズ(TMSC)を含む「産業機器その他事業」だ。同事業はカメラ事業とほぼ同規模、全売上高の4分の1を占めるまでになる(残りの2分の1は事務機器事業)。

キヤノンが発表した2016年度決算の売上高は前年比10.5%減の3兆4014億円、営業利益は前年比35.6%減の2288億円だった。決算発表で田中稔三CFOは「減収の70%、減益の80%は為替が原因だ」と強調した。

カメラ、事務機器が苦戦

だがこれは、為替要因を除いたとしても減収減益だったことを意味している。現地通貨ベースでの事業別売上高の変化を見ると、カメラ関連は4.9%の減収、複合機やプリンタなど事務機器関連は7.6%の減収となった。カメラではプロフェッショナルモデルやハイアマチュアモデルを刷新、ミラーレスのラインナップも拡充したが、前年水準を維持することはできなかった。事務機器も、オフィスのペーパーレス化で打撃を受けた。

今回の決算であらためて示されたのが、これから新規事業に軸足を置くという方針だ。近年のキヤノンは新規事業に累計1兆円もの巨額を投資してきた。2010年には商業印刷に強いオランダのオセ社を1000億円、2015年には監視カメラ事業を行うスウェーデンのアクシス社を3300億円で買収。そしてコンピュータ断層撮影(CT)などの医療機器を製造するTMSCには6600億円を投じた(買収完了は2016年12月。2018年初頭から「キヤノンメディカルシステムズ」に社名変更の予定)。これらの買収の貢献もあり、2017年度の営業利益を2550億円(11.4%増)と、3期ぶりの増益を見込む。

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