富士フイルムHD、「不正会計」の絶妙カラクリ

海外子会社で売り上げのカサ上げが行われた

6月12日の会見で会社側は「不正ではなく不適切会計」であると強調した(撮影:風間仁一郎)

そもそも不正はなぜ見過ごされてきたのだろうか。調査報告書は、ニュージーランド現地の自主性を重んじ、FXが日本人経営者を派遣しなかったこと、内部監査と業績目標の管理部門が同一だったことなどを挙げている。FXでは、吉田晴彦副社長が山本忠人会長や栗原博社長に報告しないという隠蔽もあった。

だが報告書は、不正会計や隠蔽は組織的だったとまでは結論付けていない。不正会計はあくまでもウィッタカー氏個人の、隠蔽は吉田副社長個人の行為だとしている。

3月に1300億円の社債を発行

本調査が4月20日〜6月10日まで約50日もかかったのは、国内外のすべての子会社でニュージーランドやオーストラリアと同様の不正がないかを調査したからだという。結論は「ニュージーランドやオーストラリア以外で同様の不正は見つからなかった」というものである。

一方で報告書は「もう一丁(1兆)やるぞ!!」をスローガンとした売上高1兆円回帰運動や、「プライド値」という売上高目標の存在を指摘し、業績至上主義の体質を指摘している。もし報告書が指摘する通りであれば、本当に不正会計問題はこれですべてなのか。他の手口による別の不正会計は存在しないのだろうか。

12日の会見は2時間近くに及んだが、すべての疑問が解決されたとまでは言えそうにない。

なお、今回の不正会計騒動の最中、富士フイルムは3月に1300億円の社債を発行している。また、不正会計への疑惑が指摘されているにもかかわらず、あずさ監査法人が第2四半期・第3四半期の四半期レビュー報告書で適正意見を表明している。PwCあらた監査法人が東芝に対してしたように、あずさの監査意見が「不表明」だったら、このタイミングでは社債を発行できていなかったおそれもある。

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