ワクチン接種の重要性を啓発するNPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」の調べによれば、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた2月以降、小児の予防接種を保護者が手控える傾向が顕著になっている。
同会が提供している「予防接種スケジューラー」アプリ利用者の登録データを基に各ワクチンの接種推奨時期における接種状況を算出したところ、0歳児が定期接種する小児用肺炎球菌ワクチンやBCGワクチンの接種を推奨時期に接種している割合が、コロナが流行した時期に落ち込んでいることがわかった。
中でも、BCGワクチンを生後7カ月までに接種した割合は大きく落ち込み、4~6月に接種時期を迎えた2019年11月生まれの子どもでは以前の半分程度にまで落ち込んだ。
また、1歳児の予防接種の接種率についても、定期接種のMRワクチン(麻疹<はしか>・風疹の混合ワクチン)の初回、任意接種のおたふくかぜワクチンの初回とも落ち込みが顕著だった。同会によれば、いずれも接種しているのはコロナ前の6割程度にとどまっているという。
スケジュールどおりのワクチン接種の重要性
同会の菅谷明則理事長(すがやこどもクリニック院長)によれば、「きちんとスケジュールどおりに接種していないと、ワクチンで防げるはずの病気にかかり、重症化するリスクがある。とくに麻疹は感染力が強く、今後、海外との往来が増えてくると国内でも感染が広がる可能性がある」という。
そのうえで菅谷理事長は「ワクチン接種のスケジュールは病気にかかりやすくなる前の時期で、ワクチンの高い効果を得られ安全に接種できる年齢を考慮して決められている。スケジュールどおりにきちんと受けることが重要だ」と指摘する。
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