――なるほど。中国人学生にとって、就職=英語力が当たり前なわけですね。
出口:社会的なインセンティブを学生に与えたら、皆勉強します。だから英語教育の問題は、小中高大ではなくてむしろ企業の問題です。英語を採用基準に入れたらみんな勉強します。勉強させるということは、インセンティブの設計次第ですから。
――今回、この連載に対して読者からいろいろなご意見があったのですが、「日本にいれば日本語で何とかなるから英語は要らない」という人もいました。
出口:いまだに「日本は自由世界では、GDP2位の大国だ」などという視野が狭い人は、日本では英語を使う仕事がないと考えているので、英語を使えることは世界が広くなるということがわからないんですね。
APUの学生には、「グーグルで同じ項目を日本語と英語で検索してごらん」と話しています。日本語のウィキペディアだったらこれだけ少しの情報が、英語だったらこんなにあると。英語ができたら大英博物館の本が全部読めると。英語を仕事に使わなくてもいいけれど、世界が広がって楽しいぞと。英語を使わなくても仕事はできるというおじさんがいるから、日本の生産性が低いわけですね。
グローバル企業は成績採用
――APUは留学生が半数を占めていますし、授業はほぼ英語。否が応でも英語を勉強しなければならないですね。
出口:APUで外国人留学生(国際学生)が一所懸命勉強する理由は実に簡単で、グローバル企業は成績採用だからですよ。大学院に行くために、奨学金をもらうのも基準はすべて成績。だから国際学生は必死に勉強します。国際学生が日本人の学生より、向学心に燃えているわけではまったくありません。
――インセンティブに差があるうちは、日本人は永遠に追いつけませんね。
出口:日本人が勝てないのは、外国人には社会的なインセンティブがあるからです。APUでは明らかに国際学生は必死に勉強します。だから成績優秀者の多くは国際学生です。
しかし日本人が劣っているわけではなく、日本社会に「英語なんかできなくても大丈夫」というおじさんがいて、しかもそういうおじさんが大きい顔をしているから、折角の機会を活かせないだけの話ですよ。
――「英語なんてできなくても大丈夫」といっているおじさんは、子どもや若者の未来を潰しているということですね。もし反論があるなら筆者までぜひ(笑)。ありがとうございました。
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