アパレル、立地が分けた「リベンジ消費」の明暗 回復早いアウトレットモール、沈む大手百貨店
だが、6月に回復基調にあった店舗でも、先行きについてはまったく油断ができない。SC向けブランドを展開する中堅アパレルの幹部は、「リベンジ消費は想定以上にあっさりと終わった」と漏らす。
複数のアパレル企業の中堅社員も、「天候不順や感染者数の再拡大もあり、7月半ばから売り上げはまた厳しくなっている」と口を揃える。実際、ABEJAのデータでも来店者数(全国)の回復度合いは、6月第3週をピークに再び下降傾向にある。
郊外SCを中心に店舗展開するジーンズ専門店・ライトオンの6月の既存店売上高は、セール効果もあって前年同期比109.8%と急回復した。しかし、7月は週を追うごとに集客は苦戦し、同86.3%に転落した。6月はほぼ前年同期並みに売り上げが戻っていたアダストリアも、7月の既存店売上高は同80.1%に再び落ち込んだ。
セール効果は6月末に一巡
多くのアパレル店舗は大量に残ってしまった春夏商品の在庫をさばくため、普段より前倒しで6月初頭から夏のセールを開催した。「とにかく今は各社ともに、利益を度外視してでも商品を売ってキャッシュを確保したいとの意識が強い」(業界関係者)。セールはいわばカンフル剤の役目を果たしたが、その効果は6月末に一巡したようだ。
セール効果の息切れに感染者数の増加が追い打ちを掛け、8月以降の店舗売り上げや来店者数の行方は不透明感が増している。外出自粛ムードや消費低迷が長期化すれば、多くのアパレル企業は外食企業と同様、固定費削減に向けて大規模な店舗整理を迫られかねない。
複数の小売り関係者によると、6月に急回復したSCでも、客足の戻り具合で優勝劣敗が目立ったという。ABEJAの小林氏は、「地域1番店のような競争力の高いSCは急速に回復したのに対し、2番店や3番店の戻りは時間がかかった。施設間の格差がより顕在化した印象が強い」と分析する。
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