アパレル、立地が分けた「リベンジ消費」の明暗 回復早いアウトレットモール、沈む大手百貨店
アウトレットモールと同様に回復が目立ったのが、イオンモールやららぽーとなどに代表される郊外型SC(ショッピングセンター)だ。6月第3週には来店者数が8割の水準にまで戻った。車で直行できる手軽さや、施設内のスーパーなどで日用品も同時に買い物できる利便性の高さが早期の回復を後押しした。
SCの回復ぶりは、多数の店舗を構える大口テナントの売り上げ動向からも見て取れる。「グローバルワーク」や「ローリーズファーム」などの若者向けブランドを展開するアダストリアは、3~5月累計の既存店売上高が前年同期比で54.9%と大幅に減ったが、6月は同99%にまで急回復した。
大手百貨店は2ケタ減が続く
ファーストリテイリング傘下の「ユニクロ」に至っては、6月の国内既存店売上高は前年同期比126.2%という好成績をたたき出した。これはセール効果も大きかったと思われる。例年は5月に1週間弱くらいの期間で行う「ユニクロ誕生感謝祭」を、今年は6月に15日間と大幅に日数を伸ばして開催した。
一方、人が密集しがちな都心に構える路面店は厳しい。ABEJAのデータでは、路面店の来店者数は6月に入ってからも前年同期比で5割以下の水準だった。訪日観光客消滅の影響もあり、銀座や新宿など都心の路面店が大幅な客数減に苦しんでいるもようだ。
こうした傾向は百貨店にも共通する。大手百貨店の6月の衣料品部門売上高は、三越伊勢丹が前年同期比29.4%減、大丸松坂屋が22.3%減、高島屋が18.9%減と、夏のセールが始まった中でも2ケタ減が続く。イベントや旅行など「ハレの場」が限られている以上、百貨店で扱う中~高価格帯の外出着やスーツは需要低迷を余儀なくされる。
さらに、ある大手アパレルの幹部が明かすように、「通常ならいち早く回復するルミネ(JR東日本系)のような都心のファッションビルの戻りも非常に遅い」。
ルミネは混雑防止のため、毎年恒例となっている夏の全館セールを今年は取りやめた。人で混雑しやすい都心・駅近という立地や、食品など日用品を一度に買い回りしづらいテナント構成も、コロナ禍での回復の鈍さを招いたようだ。
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