コロナ2波で「株・ドル暴落、金暴騰」は起きるか 「バブル崩壊」や「金融危機」に過敏な人の論理

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ということで、4~6月の主要国の経済情勢は悪いがそれは自明のことで、6月にかけて日米の景気が持ち直してきていることは株価支持材料だ。ただ、7月の景気が小休止となると、株価の上値は重いだろう。

筆者は前述のように、「4~6月の経済や企業収益が悪いから、株価はひとたまりもなく下がる」とは考えていない。だが、だからと言って「中央銀行が資金散布などに注力しているから、株価はバブル相場になる」とも思えない。

「米ドルの独歩安基調が続く」は本当か?

ここ数週間のセミナーの参加者の方や、テレビ・ラジオの視聴者の方から、やたらといっていいほど質問が多かったのは、金価格についてだった。金相場についてはほとんど見識がない。にもかかわらず当初は「金価格の上昇傾向がいつまで続くか」、といったど真ん中の質問をもらった。

それが、どういうわけか理由はわからないが、先週は「米ドルの基軸通貨としての地位が崩壊して、そのため金価格が暴騰すると考えるが、どうか」といった、「基軸通貨崩壊」の可能性を尋ねる質問が急激に増えた。ただ、基軸通貨というものは、わずか1週間や1カ月で崩壊するようなものではないだろう。

実際の米ドル円相場も、先週は一時1ドル=104円台に突入して耳目を集めた。だが、前週末の7月31日(金)は、対円でしれっと105円台後半に戻している(一時は106円台まであった)。米連銀の積極的な金融緩和などが米ドル安の要因だとされているようだが、現時点で積極的に金融緩和していない主要国はなく、相対評価で米ドルを大きく売り込む材料はみつかりにくい。先週の米ドルの下振れは、単なるポジションのドタバタであって、米ドルの独歩安基調が続くとも考えがたい。

「株式を買って買って買いまくって儲かりまくるのは、いつですか」「売って売って売りまくって儲かりまくるのは、いつでしょうか」というご質問もよくいただく。だが、今年2月から3月にかけての下落相場で後者は終わってしまったし、3月から6月の上昇相場で前者も終わってしまったと予想している。

もちろん、これは当面1年くらいの間の先行きに限ってだし、全体相場についてであって、個別銘柄では株価が大きく上や下に振れるものは多くありそうだ。ただ、向こうしばらくは、大きな全体相場の変動は、ほとんどないものと見込んでいる。

まあ、投資は、ぼちぼちのんびりやっていけばよいのではないだろうか。幸いなことに、しばらくは、バブルの発生もバブルの崩壊も基軸通貨の崩壊も黄金の経済も大恐慌も大暴騰も大暴落も金融システム崩壊も、来ないと考えている。「そんな見通しはつまらないですね」ともよく言われるが、現実はしばしばつまらないものだ。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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