欧州サッカー「大物が動かぬ移籍市場」の裏事情 日本人CEOが明かすコロナ禍による環境激変

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「こちらで3年仕事をして、日本代表の強化をどうすべきか、Jリーグはどうしたらいいのかがボンヤリと見えてきました。日本人の“限界値”も肌で感じています。日本の育成システムは間違っていないけれど、最高峰クラブで活躍するには判断やスピードだけでは難しい。怪物のような身体能力や身体のサイズを備えていることがどうしても必要なんです。1月にリバプールに移籍した南野拓実が苦労しているのも、そこだと思います。

とりわけ、ゴールキーパーと9番(センターフォワード)はその傾向が強い。近年の日本は外国人の血を持つ選手が増えていますが、それも解決策の1つでしょう。逆に、『意外にやれるな』という伊東純也(ゲンク)のような選手を間近で見る機会に恵まれたのも大きかった。爆発的スピードを誇る彼の評価はベルギー国内でも抜群で、ステップアップする可能性もあると思います。

一方で、高年俸のベテラン選手は厳しいですね。コロナ禍でリストラを考えるクラブは多いですし、実際に『(移籍金が発生しないよう)フリーにするから出ていってくれ』と放出する例をベルギーでもいくつか見ました。

どこも収入のメドが立たない分、『まず先に選手を売ってから意中の新戦力を買う』という動きになってくる。われわれもそうせざるをえません。身の丈に合った経営を心がけながら、流動的な今季を乗りきっていければと考えています」(立石CEO)

新型コロナウイルスという目に見えない敵と戦いながら、クラブ経営の健全化を図りつつ、欧州移籍市場の流れを的確にキャッチしていくというのは大変な作業だ。それを一手に引き受ける日本人CEOのアプローチは非常に興味深い。8月9日のアンデルレヒト戦からスタートする予定の新シーズンの動向を、まずはしっかりと注視していきたい。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事