欧州サッカー「大物が動かぬ移籍市場」の裏事情 日本人CEOが明かすコロナ禍による環境激変

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例年は8月31日に主要リーグが選手の登録期限を迎えるが、今シーズンはこれとは別に9月8日~10月5日の「第2ウインドー」が設けられている。そのため、選手移籍期間が長期に及ぶことになる。

欧州5大リーグの下に位置づけられるベルギーは、格上リーグの影響を受けやすく、開幕1~2カ月後に複数の主力が引き抜かれる可能性が少なからずあるのだ。

「9~10月の第2ウインドーで一気に移籍が活発化するのではないかとみています。とくに集中するのが最終日。欧州の移籍は駆け込みが非常に多いんです。鎌田大地(フランクフルト)が2018年夏にレンタルでウチに加入したときもそうだった。10月頭に戦力が大幅に動くことも視野に入れながら、今から準備をしておくことが重要です」(立石CEO)

新シーズンに向け、STVVは6月までに移籍金8000万~1億円の選手3人とシュトゥットガルトにレンタル移籍していた遠藤航を完全移籍で売却。フィールドプレーヤー24人・ゴールキーパー3人の合計27人というトップチームの陣容で開幕を迎える方向だ。

立石CEOへの取材は7月28日にリモートで実施した(写真:スクリーンショット)

ただ、クラブとしては今後の経営がどうなるかわからないという難しさがつきまとう。

終盤戦が打ち切りになった昨シーズンは、未消化のホームゲームが数試合にとどまり、入場料収入の減少幅を最低限にとどめることができた。そのため年間売り上げも、当初見通しよりやや少ない約20億円は確保できたという。

コロナ禍のシーズンを乗り切るために

とはいえ、7月から始まった2020-2021シーズンは無観客試合が長期化するおそれもある。選手の大胆な入れ替えができない状況だ。

「無観客が5試合あると想定して、入場料収入30%減で予算を立てましたが、そのとおりにいくか、わからない。大幅減収もありうる状況です。いったんチームを作っても、予期せぬオファーが来て、いい選手が引き抜かれるでしょう。すでに代理人にリサーチをかけていますが、昨季活躍していた鈴木優磨やシュミット・ダニエルなどの日本人選手を含めて、その可能性は大いにあります。

それでも、われわれは『1部残留』という最低限の目標を果たさなければいけない。2部に降格してしまったら経営破綻もありうるので、それだけはなんとしても回避する必要があります。今季ベルギー1部は16チームの予定で、最下位が自動降格し、15位が入替戦に回る。つまり、14位以上を死守できるような戦力をそろえることが肝心なんです」(同)

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