コロナ禍で「都市」が持つ価値が一変した背景 都市社会学の専門家が考える「withコロナ」
そこで大事なのが、他人がどのような選択をしても、その人を責めてはいけないということだ。五十嵐さんは「『私とあなたは違う』ことを前提に、みんなの意思決定の支援を考えることが、リスクコミュニケーションの原則です」と話す。
「社会の方針が出たうえで、それに完全には従わないのか、自主的にさらなる自粛を続けるのかは人によって異なります。誰がどんな選択をしても、違いを尊重することが大切です。
積極的に自粛を続けている人もいる
いまの日本では、自粛をしない人を取り締まろうとするようないわゆる『自粛警察』と呼ばれる人も、『いつまでも自粛だと言っていたら経済が成り立たない』と怒る人もいます。でもよく考えてみれば、緊急事態宣言解除後も積極的に自粛を続ける人が一定数いるからこそ、いまの感染状況で収まっている側面もある。
一方で、全員がずっと家の中で自粛していたら、いつまで経っても経済は回らず、お店を倒産に追いやってしまうかもしれない。自分と違う行動を取る人を非難したり貶めたりするのではなく、自分ができないこと(感染拡大の抑制や経済活動)を自分以外の人がやってくれているのだという発想が、社会の連帯感を生むのではないでしょうか」
<五十嵐泰正(いがらしやすまさ)さん>
1974年千葉県生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授。都市社会学/地域社会学。地元の柏や、学生時代からフィールドワークを進めてきた上野で、まちづくりに実践的に取り組むほか、原発事故後の福島県の農水産業をめぐるコミュニケーションにも関わる。他の編著に、『常磐線中心主義』(共編著、河出書房新社、2015)、『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』(共著、亜紀書房、2012)ほか、近刊に『上野新論』(せりか書房)。
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