宅配便の「再配達無料」はどう考えてもおかしい そもそも送料無料という表現はどうなのか

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橋本:現在トラックに乗っているドライバーも、荷物を運び続けるという使命感とともに、プライドがあります。根性論ではありますが、その気持ちを汲んであげることも大切だと思います。

大島:最後にドライバーがいま置かれている状況が続けば、決して人手不足が解消されることはありません。担い手を確保するには、世の中にドライバーの仕事を理解してもらうことに加え、賃金を改善することが欠かせません。

橋本:賃金改善には、原資となる運賃・料金を適正に収受するしかないですね。

賃金改善なければ、いずれ運ぶ人がいなくなる

大島:国土交通省は今年4月、標準的な運賃を告示しました。これは原価計算を基に、ドライバーの賃金を全産業並みにするために必要な運賃を、タリフ(運賃表)で示したものです。

実勢運賃とは差がありますが、数年かけてでも目指すべき目標値だと思います。もちろん、荷主も払うものは少なく済ませたいので、簡単ではありません。しかし、賃金を上げてドライバーが集まる環境をつくらなければ、いずれ運ぶ人材が確保できなくなると言えます。

橋本:物流費の高騰は商品の値上げにつながる可能性もありますが、無駄なコストを抑えれば、影響は最小限で抑えられるのではないでしょうか。

大島:そのとおりです。無駄な保管・輸送をなくしたり、共同輸配送を推進したりするなど、サプライチェーン全体を見直すことが重要になります。運賃・料金を上げた分を仕組み全体でカバーすれば、物価への影響は最小限で済みます。

『ドライバー不足に挑む!』(書影をクリックすると、購入サイトへジャンプします)

橋本:適正運賃・料金収受に向け、各社とも取り組みを進めていますが、すべての企業の足並みが揃わないと、荷主も「だったら別の企業に」という流れになってしまいます。業界として、一致団結することが重要ですね。

大島:長い歴史を考えるといたちごっこではありますが、ドライバーの労働環境改善に取り組む企業と、そうでない企業で、人材確保でいずれ差が出ると思います。新型コロナの影響で少し状況は変わっていますが、それでもしっかりと賃金を払わなければ人が集まらないので、その分の運賃・料金を収受するという流れに変わりつつあります。荷主の理解も広がっているので、トラック運送企業も話し合いを進めてほしいと思います。

橋本:大島さんは調査、研究に携わる立場から、私はドライバーを経験した立場から本を執筆しましたが、共通点が多く、驚きました。

大島:私も驚きました。機会があれば、また一緒に何かの仕事をしたいですね。

大島 弘明 NX総合研究所常務取締役

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おおしまひろあき / Hiroaki Oshima

1988年、日本大学卒業、(旧)日通総合研究所に入社。主にトラック運送事業における事業環境の変化や労働・安全問題、物流効率対策等の調査研究に従事。近年は、トラックドライバーの労働時間短縮等働き方改革に向けたコンサルティングも担当。ドライバー不足、2024年問題への対応等に関する講演や執筆多数。現在、経済産業省、国土交通省、農林水産省による「持続可能な物流の実現に向けた検討会」委員。著著「ドライバー不足に挑む!」(輸送経済新聞社)

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橋本 愛喜 フリーライター

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はしもと・あいき / Aiki Hashimoto

大阪府出身。元工場経営者・トラックドライバー。ブルーカラーの労働環境問題などについて執筆。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)。

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