危ういJAL再建、更生法申請でも見えない将来像
事業会社として過去最大の経営破綻--。1月19日に会社更生法適用の申請を行った日本航空(JAL)。だが、申請を経ても支障を来すことなく、国内外でJAL機は飛んでいる。
私的整理による再建は限界、さりとて何の後ろ盾もなく法的整理に走れば運航が大混乱しかねない。そのいずれでもない“ウルトラC”の選択肢が、事前調整で仕立てた再建支援と会社更生法を組み合わせるという方策だった。
昨年10月にできたばかりの企業再生支援機構(機構)下でJALは実質国有化され、6月にも更生計画を提出し、裁判所の認可を経て再建が動き出す。
前原誠司国土交通相が繰り返した「飛ばしながらの再生」を死守すべく、法的整理後も商取引や航空機リースの債権は100%保護。信用補完に機構とメイン行の日本政策投資銀行(政投銀)で6000億円のつなぎ融資枠も設定した。さらに7300億円の金融支援(債権放棄)を経て機構は3000億円出資。巨額の公的資金が投じられる。
倒産法に詳しい阿部信一郎弁護士は、「裁判所は債権者平等という立場。法的整理で金融債権だけカットするのはありえない。政府支援という枠組みを利用するなど、JALはおいしいところをすべて活用した特例中の特例」と指摘する。
再建の道筋を探る中で、資金繰りは破綻寸前だった。
更生手続開始申立書によると、今年1月15日、政投銀から1450億円の追加融資を受けたが、取引先の支払いが多く、機構の支援決定がなければ1月28日に100億円近くの資金不足が生じるおそれがあった。
また、本誌が入手したJALの「事業再生計画(案)」の中には、「昨今の経営状況に鑑み、投資については、既存のシステムや設備の保守維持・老朽化対応に必要なものに限定し、さらに高い安全を確保するために必要な新規投資などを抑制せざるを得なかった」とある。