前途多難のリニア新幹線計画、ルート選びで利害衝突

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「天の声が欲しい」

通常の整備新幹線では建設費は国と自治体が折半する。ルートや駅選定でも最終権限を持つ国が行司役を担ってきた。民間が資金拠出するリニアの場合、国交省は事態を静観してきたが、このままでは決着がつきにくくなる。

とりあえずルートが決定しないと前には進まない。「もし私が長野県の担当者なら、天の声が欲しいところ」と他の自治体関係者は話す。中間駅設置を目指す近隣の県からは「国が決めれば、JRも長野など地元も従う。もうらちが明かない」との声が漏れる。

環境アセスメントに3年、建設には10年が必要とみられる。JR東海は14年ごろの建設着工を想定しているようだが、「ルートは1年程度で決めないと日程が厳しくなる」(沿線関係者)との見方もある。国という行司役はリニア計画を難所から救えるか。

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堀川 美行 東洋経済 記者

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ほりかわ よしゆき / Yoshiyuki Horikawa

『週刊東洋経済』副編集長

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