「SoftBank」白戸家と野比家に見る好感CMの法則 多彩な配役による何気ないやり取りに高評価
本作はオンエア開始から3カ月以上経ったCMだが、長澤のコミカルな演技や子役の本間さえのかわいらしさが好評で、打てば響く成功事例といえるだろう。「小さい頃と今の長澤さんのどちらもかわいい」「何度見ても子役の女の子がかわいくて癒やされる」といったコメントが目立ったほか、家族のひとコマに思い出を重ねた視聴者から「自分も小さい頃そうだったなと昔を思い出した」といった感想も寄せられた。
このほかにも家族をテーマにしたCMが上位に並んだ。深田恭子、多部未華子、永野芽郁が三姉妹を、ガチャピンとムックがその両親を演じるUQコミュニケーションズ『UQ』のシリーズCMが6位に入った。ピンク・レディーの『UFO』のイントロが流れる中、ソファでそれぞれクールな表情でポーズを決める5人が映され、「これずーっと前のCMよね?」「ずーっとイチヨンパを伝えるためよ」といった会話が重なる。
そして「♪UQ」というフレーズを合図に彼女たちがカメラ目線となり、スマホを手にダンスをするシーンに切り替わる内容だ。本作は2016年に放送されたシリーズ第1弾のリメイク版で、当時と同じ映像にCMそのものへの“ツッコミ”のようなセリフを重ねることで完全に新しいクリエイティブのCMとして生まれ変わらせた。コロナ禍による制約をCMのインパクトに昇華させ、女性を中心に高い評価を得た。
親子さながらの空気感や楽しげな掛け合いに注目
大塚製薬『ポカリスエット』は、母娘役の吉田羊と鈴木梨央がイエロー・マジック・オーケストラの『君に、胸キュン。』を歌いながら家の前で仲良く阿波踊りをするCMがヒット。15回と少ない放送回数ながら、「親子の仲良しな感じが印象的」「ほのぼのとしていい」といったコメントが相次ぎ、2人の本物の親子さながらの楽しげな様子が人々の心を捉えたようだ。
このほか、モスフードサービス『モスライスバーガー』のCM(15位)は「海老天めんたい味」と「よくばり天めんたい味」の2つのバーガーが漫才を披露する内容で、お笑いコンビ・ぺこぱがナレーションを担当。“否定しないツッコミ”といった彼らの持ち味を生かした表現が支持された。
また花王『アタックZERO』(17位)は、松坂桃李ら演じる“#洗濯愛してる会”のメンバーが商品が「抗菌+(プラス)」に進化したことを泣きながら喜び合うCMを展開。女性層からのポイントを伸ばした。
今期はコロナ禍の影響でこれまでどおりのCM制作が難しい状況が続く中でも、アニメーションやリメイク、タレントの声の出演など、アイデアの力で注目を集めたヒット作が目立った。また視聴者の反応を見ると、家族や気の置けない仲間との何気ないやり取りを映したCMに共感が寄せられているようだ。ストーリーやキャラクター設定はキャッチーなものが多く、必ずしも日常と地続きのCMばかりではないものの、そこに描かれる人と人との交流や温かい関係性はいずれも安心感を与えてくれる。
閉塞感のある情勢下でストレスの多い日々を送る生活者にとって、ユーモアや癒やしの力で不安な気持ちを和らげてくれるCMは、平時の何倍も魅力的に映ったのではないだろうか。
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