ワルの息子と母親を救った「先生のある一言」 自分の心を閉ざしてしまう現代の一見いい子
筆者の母もその激動の時代に、とくに地元で“荒れている“と評判の中学校へ勤務しており、その頃の生徒さんだったようです。
「僕ね、親にも随分迷惑かけたって今では反省することも多いんですがね、たぶんそれは先生がいたからなんすよ。先生さ、いきなりパツキンのクルクルパーマかけたの覚えてないっすか?」と息子さん。
あぁ~!っと昔の記憶が一気に蘇りました。堅い仕事をしていた父だけでなく、なにしろ田舎なので親戚一同おったまげた!といった感じでしたが、当の本人は気に入ってるような満足げな顔をしていたのを覚えています。
怒りの「パツキンパーマ」に救われた
「あれ、実は俺らのせいなんすよ。俺らって、本当に悪かったから、担任なんかはまず俺らと目を合わせたことねぇし、センコー全員俺らと関わらないようにって逃げ回ってる感じだったし、そもそも世の中の大人って全員敵だと思って生きてたんでね」と。
クラスで給食費がなくなる、誰かが泣いているなどネガティブなことがあると、真っ先に何の証拠もなく無条件に彼らが疑われ、頭ごなしに怒られるという日々の中で、大人に対しての不信感が募り募っていったのだそう。
「でね、ある日校長室に親と一緒に呼び出されて、“お前ら明日から学校来んな”って言われてね。そしたら、俺らより先生が校長にキレちゃって、俺ら正直ビビりましたよ(笑)」という息子さんの言葉に続いてその母親も続けます。
「先生ね、“どんな生徒でも学校に来る権利がある。それをましてや校長が奪うなんて何事だ!”ってキレちゃって、そしたら次の日にいきなりこいつらと同じパツキンのパーマですよ(笑)。ろくでもないこいつら連れて校長室に乗り込んで行ってね、“この子らと向き合おうともしないで容姿や育ちだけで学校に来るなと言うなら私も明日から来ない!”って啖呵切ってね。私のような親は本当に心が救われたんです。あれだけは一生忘れられない出来事でした」
聞くと、息子さんだけでなくこの母親も、母子家庭というだけで世間から偏見の目で見られていた時代に生きにくさを感じていたのだそうです。“まともな家庭じゃない“という自分自身への思い込みも強く、「どうせ何をやってもうまくいかない。幸せなんて自分には訪れない。一生世の中の“敵”と戦って生きていかなければいけない」そう感じていたそうです。
学校から呼び出されれば、「どうしたの?」という言葉ではなく、一方的に上から怒られるだけで、そのたびに自分たちは“ダメな人間だ”という思いが強くなるばかりだったそう。
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