Webサイト刷新の75%が失敗に終わる残念な訳

経営者や責任者の気分はユーザーに無視される

さらにリニューアルに成功した25%の企業について、Webサイト経由の反響はどれほど伸びたのだろうか? 同調査結果から、Web経由の反響獲得率の伸びは、最大でもわずか1.23倍にすぎないことがわかっている。

1.23倍の改善で、300万~1000万円程度のリニューアル費用を回収できるかどうかは、企業の収益構造やWebサイトの規模による。ただ、Webサイト改善の世界では、主要1~2ページを直すだけでも2倍以上の改善効果を見込めることが少なくない。リニューアルの費用対効果は、決して高いとは言えないだろう。

Webサイトリニューアルにおいて、最も重視されるのは表層的な「デザイン」の刷新である。

先述のとおり、リニューアルの大半は、経営者や事業責任者の「気分」でスタートする。彼らにとってWebサイトリニューアルは「儀式」の1つだ。「新しく社長に就任する」「新しい経営戦略を打ち出す」「DX(デジタルトランスフォーメーション)に注力している感を出す」など、「新しい感」を出したくなったときにまずテコ入れされるのがWebサイトである。

「新しい感」を打ち出す際に、彼らがいちばん気にするのは、表層的なWebサイトの「デザイン」である。今のWebサイトからどれだけ変わった感じを出せるかがすべてであり、それ以外のことは考えていない。しかしこの「新しい感」を出すリニューアルは、壮大な自己満足にすぎない。

表層的なデザイン変更(フォント変更、カラー変更、イメージ画像変更、既存コンテンツ配置変更、ページレイアウト変更)しか行っていないリニューアルはほとんど失敗する。

少し冷静に考えればわかるが、Webサイトに訪れる顧客は「変わった感」などに一切興味がない。リニューアル直後にアンケートを取ればわかるが、大半の顧客はデザイン刷新に気づきすらしない。

リピーターの多いECサイトであれば気づく可能性もあるが、これはどちらかといえばネガティブな反応になりがちだ。使い慣れたWebサイトが破壊され、斬新さやトレンドを追求した「おしゃれ」なWebサイトは顧客の離反すら招く。

顧客が興味を持つのはコンテンツのみ

Webサイトに訪れる顧客が興味を持つのはコンテンツのみだ。目的のテキスト情報や画像情報さえ見つかればいいので、それ以外のデザイン要素には目もくれない。むしろデザイン要素など一切気にすることなく、スムーズに目的地に到達できるデザインこそが目指すべき理想だ。もちろんあまりに古くさいデザインでは、企業としての信頼を失いかねないが、最低限のビジュアルさえ担保できていれば問題ない。

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