――中間経営職?
要は、部⻑や課⻑などそれぞれのレベルで委任されている権限の範囲で、適時的確に判断し、決断できる⼈のことだ。
かつての中間管理職として生き残るコツは、与えられている権限ごとに適時的確に“決断しない”ことだった。決断してしまうとあとで責任を問われるし、意見の違う人から反発を食らうことになるからだ。
中間管理職は自分の権限で決断できることまで、「ほうれんそう」を担当の役員や部長とやってきた。そこでコンセンサスを作っておけば、仮に自分が稟議で最後のハンコを押しても、あとで批判されずに済む。だが、これまでのような中間管理職はもういらない。
⾃分の「やりたいこと、やれること、やるべきこと」の3つが重なっていることが職業⼈としての幸せの条件だ。若いときにはまずやれることを大きくすることが第⼀だが、部⻑や課⻑なら⾃分の器量もつかめてくるし、やりたいことも⾒えているはずだ。
もし⾃分がこうした「中間経営職」に向いていないと思うのであれば、経験が生かせる現場に戻ったほうがよい。そのほうがより⻑く活躍できるし、現場で一流の人になれば、ジョブ型雇用で高い給料をもらうこともできる。部⻑や課⻑などに就くときが(自分がどんな立場で働くかを判断する)重要なタイミングだろう。
経営者は悲観シナリオの備えが必要
――著書『コロナショック・サバイバル』では産業をローカル型、グローバル型、ファイナンス型に分類して影響を分析しています。このうち、グローバル型産業の状況をどう見ていますか。
7月以降、場合によっては4~6月よりも厳しい状況になるかもしれない。4月は最悪だったはずだが、先進各国は5月ぐらいから(外出規制などを)解除し始めた。そこである種の“リベンジ需要”が生まれた。
例えば、家のエアコンが壊れていて「このままでは夏に生きていけない!」となって(購入に至り)生じる需要。自動車でも「この状態で運転するのは怖いな」と思って(購入を見送って)我慢したのも6月、7月ぐらいまでだろう。
こうしたリベンジ需要が一巡すると、ニューノーマル(新常態)がどの水準なのかが問題になる。先進国では耐久消費財を買う人のほとんどが、ローカルな、いわゆるその国のサービス産業で働いており、グローバル産業で働いている人は非常に少ない。
今後の需要がコロナ前の7割ぐらいに落ちること、なかなか需要が戻ってこないことを前提にすると、人々は不安になる。なぜなら、雇用も回復せず、賃金も下がる可能性が高いと考えるからだ。
そうすると、従来は2年おきに買い換えていた耐久消費財を、3年おきに買い換えたりするようになる。それだけで需要は3分の2になる。経営者は楽観的に考えるのではなく、悲観シナリオに対応できるようにしなければいけない。
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