中間管理職と「中間経営職」の決定的な違い 冨山和彦氏「従来の中間管理職はもういらない」

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――中間経営職?

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

要は、部⻑や課⻑などそれぞれのレベルで委任されている権限の範囲で、適時的確に判断し、決断できる⼈のことだ。

かつての中間管理職として生き残るコツは、与えられている権限ごとに適時的確に“決断しない”ことだった。決断してしまうとあとで責任を問われるし、意見の違う人から反発を食らうことになるからだ。

中間管理職は自分の権限で決断できることまで、「ほうれんそう」を担当の役員や部長とやってきた。そこでコンセンサスを作っておけば、仮に自分が稟議で最後のハンコを押しても、あとで批判されずに済む。だが、これまでのような中間管理職はもういらない。

⾃分の「やりたいこと、やれること、やるべきこと」の3つが重なっていることが職業⼈としての幸せの条件だ。若いときにはまずやれることを大きくすることが第⼀だが、部⻑や課⻑なら⾃分の器量もつかめてくるし、やりたいことも⾒えているはずだ。

もし⾃分がこうした「中間経営職」に向いていないと思うのであれば、経験が生かせる現場に戻ったほうがよい。そのほうがより⻑く活躍できるし、現場で一流の人になれば、ジョブ型雇用で高い給料をもらうこともできる。部⻑や課⻑などに就くときが(自分がどんな立場で働くかを判断する)重要なタイミングだろう。

経営者は悲観シナリオの備えが必要

――著書『コロナショック・サバイバル』では産業をローカル型、グローバル型、ファイナンス型に分類して影響を分析しています。このうち、グローバル型産業の状況をどう見ていますか。

7月以降、場合によっては4~6月よりも厳しい状況になるかもしれない。4月は最悪だったはずだが、先進各国は5月ぐらいから(外出規制などを)解除し始めた。そこである種の“リベンジ需要”が生まれた。

例えば、家のエアコンが壊れていて「このままでは夏に生きていけない!」となって(購入に至り)生じる需要。自動車でも「この状態で運転するのは怖いな」と思って(購入を見送って)我慢したのも6月、7月ぐらいまでだろう。

とやま・かずひこ/1960年生まれ。ボストン コンサルティング グループ、産業再生機構などを経て2007年に経営共創基盤を設立、現職に(撮影:尾形文繁)

こうしたリベンジ需要が一巡すると、ニューノーマル(新常態)がどの水準なのかが問題になる。先進国では耐久消費財を買う人のほとんどが、ローカルな、いわゆるその国のサービス産業で働いており、グローバル産業で働いている人は非常に少ない。

今後の需要がコロナ前の7割ぐらいに落ちること、なかなか需要が戻ってこないことを前提にすると、人々は不安になる。なぜなら、雇用も回復せず、賃金も下がる可能性が高いと考えるからだ。

そうすると、従来は2年おきに買い換えていた耐久消費財を、3年おきに買い換えたりするようになる。それだけで需要は3分の2になる。経営者は楽観的に考えるのではなく、悲観シナリオに対応できるようにしなければいけない。

週刊東洋経済プラスのインタビュー拡大版では、「企業は最悪の状態にどう備えるべきか」「内部留保の多さを株主が批判する本当の理由」などについても語っている。
梅垣 勇人 東洋経済 記者

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うめがき はやと / Hayato Umegaki

証券業界を担当後、2023年4月から電機業界担当に。兵庫県生まれ。中学・高校時代をタイと中国で過ごし、2014年に帰国。京都大学経済学部卒業。学生時代には写真部の傍ら学園祭実行委員として暗躍した。休日は書店や家電量販店で新商品をチェックしている。

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