欲しい人材はとりに行く!
――一般公募なしのポストで、そんなにすぐ決まったのですか? 確かに国際機関では、ネットワークが重要と聞きますが……。
その頃、国際機関の採用についてよく知らなかったのですが、入ってみてわかったことは、必要な人材の多くは口コミで採用されているということです。もちろん、採用はきちんとしたプロセスを経て行われますし、最低でも内部公募が出ます。
しかし、特殊なスキルや専門、バックグラウンドを必要とするポストであればあるほど、欲しい人材をとりにいくというやり方が主流になります。「この人が欲しいから、そのための予算を取ってでも、ポストを作る」ということさえありえます。
世界銀行は、特に専門家、個人コンサルタントが集結したような組織です。あちこちで経験を積み、実績を上げ、スキルを磨いてきた人たちが集まる。そんな中で、ジェネラリストは必要とされません。そこまでの専門性や売りにできるスキルを、ネットワークを使って、ポストや仕事につなげていく。どちらが欠けてもダメで、車の両輪です。
国際機関勤務にはどのくらいの語学力が必要?
――語学力に関しても、かなりのレベルが求められると聞きます。「海外に飛び出してしまってから、語学をどうにかするべき」、という話もありますが。
世界銀行のような国際機関では、英語は大前提、マストです。そのうえで、さらに1~2カ国語がかなり高いレベルでできることが望まれます。特に世界銀行では、さまざまなレポートや分析レポートを外に向けて発信・発表していくので、前提となる語学力、コミュニュケーション能力は非常に高いといえます。
――やはり国際機関で働くには、そうとうな能力・実績が必要なんだなと感じます。それなら、入ってからは安泰、ということはないのでしょうか?
そんなことはありません! 組織に入ってからも、のほほんとはしていられません。仕事は与えられるものではなく、自分を売り込んで取ってくるものです。入行して、最初にパソコンと机を与えられたら、まずは仕事探しから始まる。とんでもないところに来てしまったと、最初の半年くらいは危機感でいっぱいでした……。
そのうえ、終身雇用は廃止されているし、ある程度年数が経つと人事部が「あなたは次どこに行きなさい」と言ってくれる日本の企業とは違います。みな、自力でポストを探し、ひとつのポストをめぐって組織内で熾烈な争いが繰り広げられます。いわば、組織内でも、一生を通して就職活動をし続けるわけです。そういう世界で、キャリアを形成していくのは大変なことです。
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