外食で「コロナ禍の値下げ」は意味がない理由 今立ち食いそばを食べる人はどんな人か

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:そんなに新たにできることってないんですよね。

池田:ただ、それだけやっても、嫌な人は来ませんから。来てくれる人は前と変わらず来てくれています。来ない人がいるだけなんですよ。それはもう、どうしようもないんです。うちもゆで太郎ファンクラブというのがあって、メンバーが1000人以上いるんですが、「もうひと月も行っていない」って、SNSに投稿していますよ。外食を自粛している人は、ずっとしているんです。

新たに人を呼び込もうとする時ではない

:今、動いていない人たちは、動きたくない人たちなんですよ。ですから、新たに人を呼び込んで売り上げを戻そうと、セールをしたり値下げをしたりするのは、今の流れでは違うと思いますね。もし、新たな人たちを動かそうとするなら、もっと知恵を絞らないといけないなと思いますね。今までの安易なセールの仕方で、お客様が動くとは思えません。

ダイタンホールディングスの丹社長(写真左)と、ゆで太郎システムの池田社長(写真右)(撮影:梅谷秀司)

池田:常連さんはカタイんですけど、その方たちの来店頻度が飛躍的に上がるかというと、それも難しいでしょう。では、牛丼チェーンがやっているように、300円台の主力商品にの中に、700円台の商品を混ぜたとして、どこまで売れるのかですよね。一巡目は売れるかもしれませんが、売れ続けるかとなると難しいと思います。

:500円台と、うちとしては多少、高めの新メニューを継続して出していく予定なんですが、それがどう動くか見てからじゃないと、今後の判断はしづらいですね。東京オリンピックに向けて、財布のひもがゆるんでいったという感覚があったんですけど、今回のコロナでそれがすっかりなくなっちゃいましたね。

池田:富士そばさんは、以前はインバウンド需要がかなりあったんじゃないですか?

:はい。ですから、東京オリンピックまでに売り上げを伸ばして、その後はしぼむでしょうから、そこから店舗を整理していこうと考えていました。それが早まってしまった感じですね。今後は粛々とお店の選別作業を、やっていかなければならないでしょう。

池田:店舗の見直しというのは、やらざるをえないでしょう。うちはこの2年、タイミングが良かったというか、店舗の整理をしてきていたんです。間引きとか移転とか。今年度は閉店のための予算は組んでいないんですが、人が戻ってきていないエリアの店舗は赤字で続けていても、しょうがないですからね。候補として、いくつか出るかもしれません。

:底を1回見たんだと思うんですよね。ほんとにこの3、4、5月で底をガツンと見せられて。その中でやっていける店、やっていけない店というのをはっきり見せつけられてしまいました。あとはもうダメなところは残念ながら閉じて、またやれる場所を探してコツコツ店舗を出して、会社を強くしていくことしかできないので。

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