Go Toから学ぶ「公費をたっぷり使わせるコツ」 コロナで浮かび上がる「新型政商ビジネス」

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今の時期の旅行への補助金は、短期的に感染症への対応として危険だし、経済効果を中心に見るとしても、キャンペーンとして「無駄玉」に終わる可能性が大きいし、コロナ再拡大を後押しする結果になるなら、観光業に対しては中長期的には、より決定的なダメージを与えることになるだろう。

ちなみに、来年に延期された、東京オリンピック・パラリンピックも「Go To」と同じ構造を持っているように思われる。早めに中止を決定する方が、財政的にも、スポーツ自体にとっても好ましいのではないだろうか。種目によっては、アスリート個人の人生がすっかり変わってしまいかねない決定だが、世界と東京の現状に鑑みるに仕方がないと思う。

もし東京オリンピックの中止と、その善後策への取り組みを主導しようとするなら、筆者は、小池氏を支持してもいいと思う。彼女が衆議院に鞍替えして首相を目指すというなら、選挙で1票入れるにやぶさかでない。彼女が立候補するであろう選挙区に、筆者はたまたま住んでいる。

「Go To」に見る「ビジネスのコツ」とは?

ここで、一歩進めて考えてみよう。全てとは言わないが閣僚を含む政治家や官僚も多くの人が「今の時期のGo Toはまずい」と思っているのではないだろうか。彼らは、個々には「正気」を持っている人達なのだろうと想像する。

しかし、観光業の状況は相当に厳しいのだろう。そして、一度決めた政策を撤回する側に回るのは「個人を巡る事情を考えるとやりにくい」のだろう。政治家も官僚も、個人として、業界関係者からキャンペーンの決定について関係者から大いに感謝されたことがあろうし、自分の所管する業界で大型の倒産や大量解雇を見たくないのだろう。

また、そうした事情を抱えている「上」の気持ちを忖度する部下の立場の人もおられよう。こうした事情を抱えると、「個人としては」積極的な反対ができなくなるにちがいない。

かくして、このまま行くと、旅行代理店をはじめとする観光業会に巨額の公費が支払われることになる。だが、遠距離移動が歓迎されない中、補助金を使って要領よく遊ぼうとする人が手近な観光に群がるだろうから、費用の割にキャンペーンとしての効果は乏しかろう。

ことは「Go To」だけではない。大手広告代理店が関与した持続化給付金のあれこれにも、また、もっと規模は小さかったものの、国民に配る布マスクの費用も、全体としては合理的ではない。だが、「関係する何人かの個人」を上手く取り込むことによって、公費をめぐるビジネスが成立するという現実が、コロナを補助線とすることによってくっきり浮かび上がる。

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