Go Toから学ぶ「公費をたっぷり使わせるコツ」 コロナで浮かび上がる「新型政商ビジネス」

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推察するに、保険会社の運用部長さんは、仕組み債の決算操作で事態を乗り切れると思ってはいなかっただろう。証券会社側が大いに儲けていることも分かっていただろうし、従って、自分の意思決定が保険加入者にとって不適切であることも分かっていただろう。しかし、自分個人の社内における立場などを考えると、「今はこうするしかない」という結論と行動になったのだろう。

「Go To」を政治家や官僚に対して仕掛けた人々も、濡れ手に泡の給付金ビジネスを獲得した広告代理店も、はたまた大学入試改革で大儲けできそうだった教育事業者も(国民にとっては幸いなことに後でことごとくひっくり返った)、似たような仕組みを使って案件を進めたに違いない。ビジネスにあって組織とカネを動かすには、「大義」などよりも、個人の利害の機微の方がずっと有効なのが現実だ。

残念すぎる「投信業界」

さて、マーケットの話も少ししておこう。コロナの第2次流行を前にしているにもかかわらず、株価は意外に堅調だ。「株価は経済を映し出す鏡だ」というのは部分的に当たっているが、一重に世界的な金融・財政の緩和の産物だろう。「株価が鏡なら、何よりもマネーこそが光なのだ」ということなのだろう。映っている人の顔色が少々悪くても、光線の加減で、美人に見えることはテレビなどでもよくあることだ。モニター画面を眺めながら「光、偉大なり!」と思ったことが何度もある。

ところで、コロナとマネーというと、「投信も『ウィズ・コロナ』」というフレーズを見て、読者は何を想像するだろうか。これは、コロナで儲かりそうな会社に投資する「テーマ型投信」が複数新規設定されていることを報じた記事の見出しだ(某新聞、7月14日夕刊)。

個々の会社のビジネスを邪魔するつもりはないので、個別の商品にはコメントしないが、「テーマ型投信」は、(1)せっかく分散投資ができる投信の長所を捨てる集中投資だし、(2)「テーマ」は長く続かないことが多いし、(3)手数料が高いので、「一般的に言って」投資しない方がいい商品なのだが、今回記事で紹介されていた商品も例外ではないと筆者は思った。このような商品がいまだに出るのだから、投信業界は進歩していない。

ところで、その記事の末尾には、「コロナによる社会生活変化を商機とする企業のうち、中長期的株価上昇が期待できる銘柄を組み入れているか見極める必要もありそうだ。」とある。

申し訳ないが、そんな見極めなどできないから、人はこのような投信を買うのだ。こんな言い訳を付けるくらいなら、「コロナ関連投信」など紹介しない方が読者のためだろうし、ニュースとして報じるなら、「一般には買わない方がいい」と堂々と付け加えたら良さそうなものだと思うのだが、いかがだろうか(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。

次ページここからは競馬コーナー。中京記念の勝ち馬は?
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