赤字転落のHIS、「GoToに期待」の厳しい台所事情 コロナ前の順風満帆が一変、膨らむ財務懸念

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上期の不調を受け、通期の業績も見通せないでいる。従来の業績見通しを取り下げ、「コロナ影響を合理的に算出することが困難」という理由で「未定」とした。

国連世界観光機関(UNWTO)によると、2020年の国際観光客は前年比60~80%減少するとみられており、HISの旅行事業の過半を占める海外旅行を直撃。2020年10月期の通期でも赤字転落は避けられない見込みだ。

膨らむ財務上の懸念

業績不振が長引けば、財務面の懸念が膨らんでくる。HISは近年、新規事業育成や国外の旅行会社、ホテル企業、損害保険会社などへのM&Aを加速していた。このため、金融機関からの借り入れによる資金調達を積極化し、自己資本比率は2011年10月末の45.3%から、2020年4月末の18.5%に大きく悪化した。

旅行のキャンセルに伴う代金返金や借入金の返済により、現預金は2019年10月末から2020年4月末までに948億円も減少。HIS単体の現預金残高は、コロナ前は2020年10月末に580億円と見込んでいたが、売り上げ減少と前受金の返金、有利子負債の返済によって、40億円のマイナスになってしまう計算だ。

もちろん会社側も手をこまねいているわけではない。まず、人件費や宣伝費をカットし、今下期に前年比120億円の販管費の削減を目指している。全部で約260店ある国内の営業店舗は、今後1年間でその3分の1にあたる80~90店程度を閉鎖する方針だ。

2020年3~10月に557億円を見込んでいた設備投資も、ホテル開発の先延ばしやキャンセル、システム開発の内製化などで90億円縮小する。HISで財務を担当する中谷茂上席執行役員は「まずは営業黒字を確保し、自己資本比率20%へ復帰させたい」と話す。

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