発達障害「専門医の多くが誤診してしまう」理由 そもそも白黒つけられる簡単な症状ではない
ある病院では「発達障害でない」と言われ、別の病院では「発達障害だ」と言われるケースも少なくありません。
しかし、発達障害に限らず、ほとんどの精神科の疾患には数値で表せる明確な指標は存在していません。血液検査の数値など、なんらかの検査で白黒つけられるわけではないのです。
それでも、現在の症状とこれまでの経過について多くの「情報」が手に入るなら、ほぼ間違いのない診断が下せると思います。しかし、それには本人の子ども時代にまでさかのぼって、話を聞かなくてはなりません。本人の記憶が曖昧なことも多いし、本人は「私は普通の子だった」と思っていても、周囲は「すごく変わった子だった」と思っているケースも多く、なかなか簡単なことではありません。
家族が当てにならない問題も
現実には、情報不足によりグレーゾーンとして扱わなければいけないケースであっても、情報がそろったことで、後になってから発達障害だと確定するケースがあることは、十分に考えられます。
さらに、情報を得るにあたって、親などの近親者が必ずしも当てにならないことも、大きな問題です。非常に熱心な家族も存在している一方で、子ども時代のことはよく覚えていないという親や、そもそも発達障害の存在そのものを頭から否定する人も存在しているからです。
繰り返しになりますが、発達障害は生まれつきのものですから、「治す」という言い方は適切ではありません。しかし、本人にその意志があるなら、日常生活で問題が起こらないように、問題となる部分をカバーすることは可能です。
それにはまず、自分の特性を理解することが大切です。さまざまなトラブルは、その自らの特性が原因で起きている、ということを知る。そのうえで、どうしたらトラブルを防げるか、具体的に考えていくことになります。