本を「読んだ端から忘れる人」が知らない記憶術

多読の法律家が見出した「忘れないコツ」

疑問を持ちながら本を読む習慣をつける

先ほど主語(Who)と場所(Where)を取り上げましたが、小説でもエッセイなど著者の考え方がつづられた本でも、共通して最後に考えるべきなのは「なぜ(Why)?」です。

「なぜですか? なぜですか?」と呪文のように唱えながら本を読んでみると、その答えが後ろのページで明記されている場合があります。これは自ら読んで得た疑問に対する答えを発見したことになりますから、その答えの記憶定着度はアップします。

また、答えが結局得られない場合には、自分で「なぜだろう?」と考えることになりますから、思考力が高められます。それだけでなく、疑問を持ちながら本を読むようにすると、別の本を読んだときに疑問が解消することがあります。そのときに得た答えは強烈に印象に残るはずです。そうすると、その答えについても記憶として強く残るでしょう。

なお、推理小説には、「フーダニット」「ホワイダニット」「ハウダニット」という言葉があります。

フーダニットは「誰が犯行に及んだのか?(Who done it?)」という意味で、推理小説では犯人を捜す小説がそう呼ばれます。これに対し、ホワイダニットは「なぜ犯行に及んだのか?(Why done it?)」という意味で、動機が謎になっている小説がそう呼ばれます。

また、ハウダニットは「どのように犯行に及んだのか?(How done it?)」を意味します。とくに、いまの推理小説というジャンルでは、人間心理に関係するホワイダニットが脚光を浴びることが増えています。それを始めたのは、松本清張だといわれています。

松本清張の小説には、人間がリアルに描かれており、探偵が出てきて犯人を捜すような作品はほとんどありません。淡々と動いていく人物たちが闇に段々突入していくのです。明確に動機の説明があるわけでもないので、読者の側で「なぜだろう?」と考える楽しみがあります。

疑問を持ちながら本を読む習慣を身に付けたい場合には推理小説から始めるとよいでしょう。その後に、推理小説以外のジャンルの本を読むときにも、推理小説を読んで身に付けた「なぜ?」を考えるクセを発揮して読むといいと思います。

重要なポイントは歩きながら反すうする

本を読んでいると「〇〇について重要なことは3点あります」というような、数字で重要なポイントを整理した箇所が出てくることがあると思います。

最近のわかりやすいビジネス書や新書などの場合には、こうした数字が明確に記載されていて、それが①、②、③のように明記され、丁寧に図表でも整理されているものもあります。

また、そのような数字が記載されていない場合、例えば「重要なことは、まずは、〇〇なんですよね」というような記載の数行後に「それから、次にお伝えしたいのは、△△も大切だということです」などが出て、その1ページ後に「最後に、やはり××を忘れてはなりません」というように、数字を使わずに重要なポイントを説明する本もあります。

こうした著者が強調する重要なポイントについて、本を読んだ後も忘れずに記憶するには、どのようにしたらよいでしょうか?

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