「需要蒸発」は「雇用蒸発」につながる。「コロナ・ショック」で、世界中の失業率増加が加速している。
アメリカでは、すでに5人に1人が職を失った。5月の失業率は20%に達し、1930年代の大恐慌並み(約25%)になる可能性もあると指摘されている。トランプ大統領が経済活動の再開に前のめりになる理由はここにある。
欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会によると、域内の観光業に従事する2700万人のうち、600万人が失業しかねないという。こちらも5人に1人が職を失う可能性がある。
NHKの報道によれば、中国では2億人がコロナの影響で仕事を失ったという。厚生労働省によると、日本でも、7月1日時点でコロナの影響による失職者が3万人を超えた。約1カ月で1万人ほど増えており、雇用状況の悪化に歯止めがかかっていない。
さらに、5月29日に公表された4月の雇用統計によると、4月の休業者数は過去最多の597万人にのぼる。野村総合研究所の試算によれば、コロナが長期化し、行動制限が1年間続くとしたら、日本の新規失業者は222万人に達する。
「移動蒸発→需要蒸発→雇用蒸発」という「蒸発のドミノ倒し」。私たちは「出口の見えないトンネル」に入り込んでしまった。
いまこそ「覚醒」しなければならない
しかし、「コロナ・ショック」は日本という国にとっては、決してマイナスばかりではない。「緩慢なる衰退」に陥っていた平成の30年から脱却し、思い切って変革を進めるラストチャンスと捉えるべきだ。
ビジネスにおいても、生活においても、「止まる」ということはとても大切なことだ。工場も点検、補修をしようと思えば、設備を止めざるをえない。止めるからこそ、動いているときには見えないいろいろなものが見えてくる。
コロナによって、私たちは「完全に立ち止まらざるをえない状況」に追い込まれた。しかし、立ち止まったからこそ見えてきたことも多い。そこにこそ、日本という国、日本企業、そして日本人の「再生、復活するヒント」が隠されている。
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