経済活動のほぼすべてを一気に「蒸発」させてしまった発端が「移動蒸発」である。
瞬く間に世界中が「引きこもり」状態に陥った
国をまたいだ移動は言うに及ばず、国内でも県をまたぐ移動は、ほぼ全面的にストップした。世界は瞬く間に「引きこもり」状態となり、移動がもたらす経済のダイナミズムは消失してしまった。
国土交通省の航空輸送統計によると、3月の国際線利用者数は対前年同月比77.3%減の約47万人、国内線利用者数は同53.6%減の約434万人だった。4月以降はさらに深刻で、4月の訪日客数はわずか2900人。対前年同月比99.9%減。ほぼゼロになってしまった。
米国のレンタカー大手・ハーツ・グローバル・ホールディングスは、5月に経営破綻した。外出・移動規制によって、キャンセルが急増したためだ。
あらゆる移動が世界中で消失してしまった「移動蒸発」。ここから、経済活動の「負の連鎖」が始まった。
「移動蒸発」が「需要蒸発」を引き起こす。
旺盛なインバウンド(訪日観光客)需要に支えられてきた百貨店の売上高は、いっきに減少。百貨店の3月の売上高は、対前年同月比33%減、4月は72%減となった。
外食産業では、ワタミが全店舗の13%にあたる65店の閉店を決め、減損損失19億円を計上した。ファミリーレストランのジョイフルは、全国に展開する713店の約3割にあたる約200店を7月から順次閉店すると発表した。
グローバルに展開する企業へのインパクトはさらに大きくなり、「ZARA」などを展開するアパレル世界最大手インディテックス(スペイン)は、全体の16%にあたる最大1200店舗を閉める計画を明らかにした。「ファストファッションの勝ち組」と呼ばれた同社でさえ、2020年2~4月期の純損益は赤字に転落し、大量閉店に追い込まれた。
「移動蒸発→需要蒸発」という「負の連鎖」は、新たな「蒸発」へとつながっていく。
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