業務委託契約で働く場合、雇用契約のように主従関係のない、独立した事業者間の契約になります。個人で仕事を請け負うときは口約束で済ませず、業務内容の範囲や委託報酬、支払方法、損害賠償など、しっかり確認したうえ契約内容を確認できる文書を保管しておくようにしましょう。
また、会社員の場合、毎月の給与から所得税は天引きされ、年末調整も会社で対応してもらえるので、あまり税金面に関して意識することはないでしょう。しかし、副業を始めて収入が増えたら、そういうわけにはいきません。副業での所得(収入から必要経費を差し引いたもの)が年間20万円を超えたら、確定申告を行う必要があります。
20万円以下であっても、副業収入から徴収された所得税が、納付すべき所得税額を上回っていることがあります。このようなときは確定申告をすることで、納め過ぎた税金を取り戻すことができます。なかなか自分で計算するのは面倒ですが、ネット上に公開されている税金の自動計算サイトなどを利用すると便利です。
さらに踏み込んで、本業の時間を短縮し短時間ずつ複数社と雇用契約を結ぶ場合は、社会保険や雇用保険について考えておく必要も生じてきます。社会保険や雇用保険は、複数社での労働時間を合算するという仕組みではないため、雇用関係を結ぶすべての企業で適用関係を満たすことができず、社会保険や雇用保険に加入できないという可能性がでてくるからです。
副業・兼業するとなると契約や税金面、社会保険のことなど、これまで会社任せにしていたことを自分の頭で考え、行動していくことが求められます。
コロナ禍を機に見直される働き方
現在、個人事業主なども含めた広義の意味でのフリーランス人口は約1034万人、うち常時雇用されていて副業としてフリーランスの仕事を行う人は約409万人いると言われています(ランサーズ「フリーランス実態調査2020年版」より)。
一方、企業側においても、副業を容認する動きが広がりつつあります。かつて副業というと、どこか後ろめたさが感じられるような響きがありましたが、今では完全に容認している企業も珍しくありません。たとえばライオンは、人事部が社員に副業を紹介する取り組みを始めただけでなく、新規事業育成に向け副業で働く人を公募し始めるなど、副業人材を積極的に受け入れる動きも見られます。
政府は働き方改革の一つに副業促進を据えてきたものの、伸び悩む状況が続いていました。コロナウイルスの感染問題を機に、その状況は変わりつつあります。それは副業・兼業ばかりではありません。働き方のパラダイムシフトが起きています。
完全に働き方を見直し、リモートワークで都心から地方への移住を考える人もいれば、副業・兼業先を地方にして、新しい世界を広げたいと考える人もいます。また、異業種の兼業を組み合わせることで、セーフティーネットを確実なものにしたいという人もいます。価値観が多様化する中で、どのような働き方が自分にとってベストと言えるか、改めて考えてみるタイミングがきているようです。
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