健康で元気なときこそ「死」について語らう理由 「このあと どうしちゃおう」で3世代で学ぶ
絵本から学ぶ「死」のその先
祖父が亡くなってこの秋で2年。家族に手を握られながら91歳の生涯を閉じたおじいちゃんは、私からみればとても幸せな人生だったと思うのですが、「介護の終わり」とはそんな単純なものではないらしく、母は今でも、あのときああすればよかった、こうしたらよかったと、後悔や自問を繰り返しては泣いています。
そんな母を見たわが家の7歳と5歳が本屋で選んできたのがこの本。「ばぁばに読んであげようよ!」と言うのです。
亡くなったおじいちゃんの部屋のベッドの下にあったノート
主人公が見つけた「このあと どうしちゃおう」と書かれたノートには、おじいちゃんの絵と文字で「自分が将来死んだらどうなりたいか、どうして欲しいか」がいっぱい書いてありました。例えば……と、想像豊かでクスっと笑ってしまうような天国の描写が続きます。
『このあと どうしちゃおう』は死がテーマ
作者のヨシタケシンスケさんは、母親を長患いの病気で亡くし、父親を急病で失ったのだそう。突然の死では勿論、ゆっくり訪れる死を前にしても、家族同士で死について語ることは難しく、結果、恐怖を分かち合うことや、心配をかけ合うことが出来なかった後悔があるといいます。
「健康で元気な時にもっとカジュアルに死について話が出来ていたらよかった」
確かに。もし祖父に「おじいちゃんはラーメンが好きだから、死んだらラーメンをお供えしてね」と言われていたら、今日もラーメンをお供えし、祖父の生前の願いを叶え続けることで、未だ悲しみの中にある母を救うことにもなったかもしれないと感じます。