交通死亡事故がコロナ禍でかえって目立つ皮肉 事故自体は減っても死亡率は上昇している
カトルフォ氏は、ロックダウン中に得られた教訓を活用して街路の設計を見直すべきだと語る。まるで幹線道路のように幅の広い街路は高速での運転を誘発する。また、自転車や徒歩で移動し、座り、ジョギングを楽しめるよう、自動車を締め出す街路を増やすべきである。
ニューヨーク市警察によれば、走行速度の上昇傾向は把握しており、パトロールを強化しているという。交通分析会社INRIXのデータによると、ニューヨーク市内の走行速度は、昨年4月の時速28マイル(約45キロ)から、今年4月には時速41マイル(約66キロ)へと44%上昇している。
ロンドン市内の交通システムを担当する政府機関、ロンドン市交通局のデータによれば、この4月、ロンドン市内では交通事故で9人が死亡した。これは例年とほぼ同じ水準だが、INRIXが提供するデータによれば、ロンドンにおける走行距離が2月から4月にかけて69%減少している。にもかかわらず、死者数は横這いのままとなっている。
INRIXでは、事業用トラック、自動車メーカー、衛星利用測位システム(GPS)、ループ式車両感知器、パーキングメーターその他の情報源からデータを集めている。
ロンドン警視庁で重大な死亡事故を捜査するアンディ・コックス刑事局長は、ソーシャルメディアを通じて、国民医療サービス(NHS)に負担を掛ける衝突事故のリスクを抑えるよう、スピード抑制と安全運転を呼びかけた。
速度超過するドライバーは危機感が薄い
コックス刑事局長は、スピードを上げすぎるドライバーについて「彼らは自分が何か事故に遭うなどとは思っておらず、他の道路利用者やその幸福についても考えていない」と話す。「まったく許しがたい。死亡事故、人生を一変させる重大な事故を引き起こす最大の要因がスピードであることを認識する必要がある」
コックス刑事局長によれば、ロックダウン中、ロンドンにおける速度違反は前年同時期に比べ187%増加した。だが、大幅な速度違反に限れば236%とさらに増えている。警察の記録によれば、時速40マイル制限の区間で134マイル(約216キロ)、30マイル制限の区間で110マイル、20マイル制限の区間で73マイルという例が見られた。
フランスでは、昨年4月の交通事故が4234件だったのに対し、今年4月は1099件へと74%減少した。だが同じ時期に、交通事故による死者数は233人から103人へと56%しか減っていない。事故件数、死者数が全体として減っている一方で、事故全体における死亡率は70%上昇している。
(Lena Masri、翻訳:エァクレーレン)
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