40歳男性が自由が丘で営業「ヒオアイス」の正体 ピスタチオはクラウドファンディングで実現

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同社のものづくり方針を体現するのが、定番商品の1つ、美瑛シングルオリジンミルクと名付けられたミルクアイスクリームだ。牛乳の味が濃いのにサラッとしていてなめらかなこのアイスクリームは、北海道美瑛町の生産者が特定された牛乳からつくられている。西尾氏自身が、創業する以前に、北海道をはじめとする生産者40以上を訪問して選んだものだ。

手前が「美瑛シングルオリジンミルク」(筆者撮影)

シングルオリジンと言えば最近ではコーヒーにもよく使われている言葉。豆の品種や農場、生産法などによって異なる個性を、ほかの銘柄と混ぜずにシングルで楽しむ味わい方を指す。日本にその考え方を広めたカフェチェーンとしては、ブルーボトルコーヒーが挙げられるだろう。

HiOLIの場合も、素材の生産者1人ひとりの顔が見えるものづくりを大切にしている。また、同社でとくに重視しているのが、生産者と消費者との結び付きだ。西尾氏はこれまで累計で100ほどの生産者を1つひとつ訪ねて素材を選んできており、さらに社員教育に農作業体験も取り入れている。

「農家の方は本当に大変な思いをして作物を作っています。私たちの役目は、アイスクリームを通じて、それをお客様に伝えること。自分で体験しなければわかりませんし、説明もできません」(西尾氏)

幸福の循環が理想

自由が丘のショップに並ぶのは、定番のほか旬のフレーバーや限定品など、約8種類。限定品の中には、1シーズンで約50〜300食程度しか用意できないような希少な素材もあり、ショップを訪れる人だけが味わうことができる。

アイスクリームのカウンターのみのシンプルな店内(筆者撮影)

またショップ隣接のアトリエは通りから見通せるガラス張りになっており、イタリア製というアイスマシーンでの制作風景なども楽しむことができる。時には、生産者を招いてのミニマルシェ等も開催しており、近隣客や子どもたちに好評だそうだ。

価格は大手チェーンと同等か少し高め。

アトリエでは、7ℓ(50〜70食分)の少量生産が可能な、イタリア製のアイスマシーンが稼働(筆者撮影)

「生産者に無理のない価格で素材を買い付けでき、なおかつお客様にも理解いただけるバランスをとっています。生産者との間で長い関係性を保つことができ、自分たちが成長できれば、生産者もより工夫や研究をする余裕ができる。食材がおいしくなれば、商品にも反映されて消費者が幸せになる、という幸福の循環が理想です」(西尾氏)

ECサイトでは季節でフレーバーの種類が替わるミニカップ12個詰め合わせや、パイントカップのセットなどから購入が可能。

また、サブスクリプションサービスのPint Club(パイントクラブ)に入会すると、毎月異なる限定フレーバーのパイントカップが2カップ届けられる。タイミングよくショップに行かなければ味わえない限定品が手に入るほか、次にどんなものが届くのかというワクワク感もあり、人気のサービスだという。

サブスクリプションサービスにおいては、新規客の獲得率とともに、継続性が重要だ。直近の解約率は前月比で平均5%とのことで、これはサービス開始1年とは言っても、低く抑えられていると言えるだろう。

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