「僕と結婚してください」
それを受け取り、美咲は目を潤ませなが応えた。
「はい、よろしくお願いします」
店のあちこちから、歓声と拍手が湧き起こった。
点と点が線でつながった結婚
結婚の報告に来た悟が言った。
「1月の入会面談のとき、“婚活は、まずは自分が積極的に動かないとうまくいかない”というのを肝に銘じました」
そして、1月には5人の女性と一気にお見合いをして、3人と付き合うことになった。そこから2月には、交際する女性を2人に絞り込んだ。
「実はもう1つ忘れられない出来事があります。2月の頭に婚活パーティに参加したじゃないですか。あれも僕の転機になりました」
私が親しくしている仲人の大邸宅で行われた20代から50代まで、25人ずつの男女が集った大きなパーティだった。
「そこで40代後半、50代の男性たちと話をしました。中には、『もう10年近く婚活をしている』と言っている人もいた。どんなふうに活動しているのかを聞いたら、過去の僕と同じ。交際になってもマメに連絡を入れないし、数カ月経つとフェイドアウトしている。たまにパーティに参加するけれど、そこでも成果が出ない。ここで僕も本気にならないと、10年なんてあっという間に経ってしまうと思ったんです」
積極的に動く大切さを、肌で感じたという。
「そこから世の中はコロナ一色になっていったのですが、2月3月中は美咲さんに毎週会っていた。そして、会うほどに好きになっていた。4月に入って緊急事態宣言が出されましたが、そこまでに2人の関係をしっかり築くことができていたんです。あと1カ月早く緊急事態宣言が出されていたら、2人の関係はまだ未熟で壊れてしまったかもしれない。これもタイミングですよね」
さらに、こんな自己暗示も婚活する気持ちに拍車をかけた。
「実は、あの面談の帰り道、東京大神宮に参拝に行ったんですよ」
東京大神宮とは、都内でも有名な婚活神社だ。
「僕は信心深くないし、神社なんて初詣ぐらいでしか行かないのですが、気持ちを引き締めようと立ち寄ったんです。そのときおみくじを引いたら、大吉が出た。『理想の人に出会えます。理想の未来が待っています。2人に誰かが入り込める隙間はありません。順調に成就するでしょう』と書いてあった。100パーセント信じていたわけではないけど、美咲さんとのことを好きになり始めたときに、この言葉がいつも頭をよぎっていました」
入会面談に来た→自分が動くことの大切さを知った→婚活神社を参拝した→5人と見合いし3人と交際になったので、マメな連絡を心がけた→婚活パーティで、動くことの大切さを改めて知った→美咲と真剣交際へ→緊急事態宣言中会えなくなり、さらに彼女の存在を大きく感じた→緊急事態宣言明けにプロポーズ。
「1つ1つの点が線で結ばれていったんです。これが“縁”なのかなあと思う。1つでもタイミングがずれていたら、美咲さんとの結婚はなかったかもしれないので」
すべての婚活者に言いたい。
目に見えないものが“ご縁”。でも、その“ご縁”を引き寄せるために、何より大事なのは行動を起こすことなのだ。
悟、おめでとう。これからも美咲さんと幸せにね!
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