教員が危惧する「大学ニューノーマル」の大問題

5つの論点から探る"コロナ後の大学像"

④ 高校生が大学を選ぶ際の意識の変化

近年、都会の大学への進学を好む受験生を意識して、多くの大学が都心キャンパスへの回帰・拡充を図ってきた。また、魅力ある大学として認知してもらえるよう、図書館や学生サロンなどの施設の充実を進めてきた。

しかし、せっかく入学した大学のキャンパスで学べない状況が長引くとなれば、受験生の大学選択の基準や意識も変化する可能性がある。通えないのであれば、地方の高校生は都心の大学へ行かなくてもよいと思うかもしれないし、高い授業料を敬遠して通信制大学へシフトする可能性がある。

放送大学をはじめ、日本女子大学、慶應義塾大学、日本大学、法政大学など、通信教育課程を持つ大学も多い。そうした大学が受け皿となるかもしれない。

⑤ 研究機関としての大学のあり方

研究機関としての大学に対しても、コロナ禍の影響は大きい。図書館が使えず、通学も容易ではない状況では研究が進まない場合も多いだろう。

また、学会活動や実地調査なども、国内・海外を問わず、制限されている。大学院での修士論文・博士論文の作成にも大きな影響が出ているとみられる。

大学の存在意義がますます問われる時代に

高学歴社会と言われて久しい。大学くらい出ておきたいと思う若者は多い。しかし日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で比べると、大学進学率は高くない。

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文部科学省の資料(2012年)によれば、日本の大学進学率は51%で、大学に行く若者はほぼ2人に1人という割合。高校進学率がほぼ義務教育に近いのとは対照的だ。

実のところ、日本の大学進学率はOECD加盟国平均の62%より低い。ちなみに最も高いのはオーストラリアの96%。お隣りの韓国は71%となっている。

こうした状況の中、コロナ禍の影響で大学に進学する意味がより厳しく問われる展開も十分考えられる。少子化の中で大学経営の困難さが指摘されてきたが、コロナ禍が長引けば、その深刻さは一段と増すことになるだろう。

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