新型「アコード」は、なぜクーペ風になったのか ホンダがセダンをファストバック化する理由

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リアシートの着座位置も低めで、背もたれがやや倒れ気味であるものの、足元は身長170cmの筆者なら楽に足が組めるし、頭上もファストバックなのに余裕があって、リラックスして過ごせる。新開発プラットフォームでは、これまでトランクの奥にあった駆動用バッテリーを後席下に収めたことも特徴となっているが、その場所は座面の先端の高い位置で、座り心地には影響はなかった。

トランクはファストバックなので開口部は限られており、トランクスルーが左右別々ではなく一体型というのは驚いたものの、そこまでの奥行きは驚くほどで、ハイブリッドセダン最大という573Lの数字が実感できた。マルチパーパス性を求める人はSUVに行くはずであり、基本となる容積を十分確保することに徹したのだろう。

「e:HEV」を採用する走りの質感は高い

走りについても少し触れておくと、旧型と基本を同じくする2.0リッターエンジンと2つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、多くのシーンをモーターだけでこなすので静かなのに加え、たまに始動するエンジンも上質な回り方で、アクセルペダルを大きく踏み込んだときには吹け上がり感を出すなど、走りの実感も味わえる。

2モーター式の「Sport Hybrid i-MMD」を改良した「e:HEV」を搭載する(筆者撮影)

新型ではパワートレインの効率自体を上げているが、それを燃費のために使うのではなく、運転の楽しさを追求したという。その結果、JC08モード燃費は31.6km/Lから30km/Lに落ちている。それでも「e:HEV」と呼び名を変えたハイブリッドシステムの効率の良さは健在で、都内のみの試乗でも車載燃費計で18km/Lをマークした。

乗り心地は、アメリカ車的な安楽さが際立っていた旧型に対し、強固なプラットフォームがサスペンションをしっとり動かすというヨーロッパ車的な快適さになっていた。ハンドリングも、このしっとり動く足回りによって安定したグリップを実現している。

コンフォート・ノーマル・スポーツが選べるドライブモードは、スポーツモードではステアリングの反応が車格に対しては鋭いと感じた。コンフォートモードは乗り心地が旧型に近く、静粛性の高さもあり、運転支援システムを作動させての高速巡航はとにかく心地よい。広大な大陸で支持されている理由が、試乗で理解できた。

ファストバックになった新型アコードは、走りも見た目に伴ったものになっていると言える。開発者の狙いどおり、国内でも若い人に支持されるクルマとなるか、販売動向に注目したい。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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