ボルボ「XC60」のハイブリッド車は何がスゴいか エコなSUV、「B5」の走りは意外にも俊敏だ
その盛り上がり感がガソリンエンジンの”味”なんですが、せっかちなオヤジさんだと、”早く加速しろー”なんてアクセルペダルをついたくさん踏み込みがち。でもそれは、燃費の面からはあまりお勧めできませんね、とばかりに、ボルボはそういうときはモーターの力でエンジンの出力軸をよけいに回してやるシステムを搭載したわけです。
XC60シリーズには、そもそも「T5」という187kWの2リッターガソリンエンジン搭載モデルがありました。それに代わるモデルとしては、はっきりいってB5は上を行っていると思んです。
B5のパワープラントは、最高出力184kWと最大トルク350Nmの1968cc4気筒ガソリンターボエンジンと、最高出力10kW、最大トルク40Nmの電気モーターです。モーターは48ボルボのバッテリーで駆動されます。
実際に運転すると、まず、パワフルという印象を受けます。ボルボの狙いどおり、電気モーターが働くのでしょう。1890キロの車体をものともせず、軽々と発進。そこからもけっこうな加速です。
このユニットの燃費はどうなんでしょう。ボルボカーズジャパンが用意してくれた資料によると、市街地ではディーゼルよりもいい数値です。アクセルペダルをあまり踏まなくてもすっと発進する感覚は、ちゃんと数字で裏付けられているんですよね。
さらに、ボルボカーズジャパンの広報担当者によると、急発進や急加速をできるだけ避けて高速道路を走った、いわゆるエコランをやってみた結果、高速道路を中心とした実燃費はリッター当たり17キロから18キロだったそうで、「ディーゼルモデルに迫ります!」とのことです。
これには、高速走行時にあまりアクセルペダルを踏み込まない、低負荷時は4気筒のうち2気筒を休止させるシステムの恩恵にも浴しているのでしょう。ダッシュボード中央のモニターで燃費を表示しながら走っていると、ある種のスポーツのようで、いい数値を出そうと楽しくなってしまうほどなんです。
環境を考えた結果、ガソリン+モーターに行き着いた
オヤジさんはやっぱりご存じだと思うんですが、いま、環境汚染を防止する目的で、内燃機関(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)への問題提起が、世界のリーダーから出されています。
「2030年までにエンジン車を廃止すべき」(スウェーデン環境大臣)、「2035年までのエンジン車廃止を宣言」(ボリス・ジョンソン・イギリス首相)、「2030年までにエンジン車廃止を採択」(ドイツ連邦議会)、「2040年までのエンジン車廃止」(フランス政府)といった具合です(すべてボルボの広報資料から)。
なかでもボルボは、以前から新しいクルマにディーゼルエンジンは搭載しない姿勢を明確にしていました。日本法人も、ディーゼルエンジン搭載の新型車というものはこれからありません、と明言してきています。