6月24日、史上初のオンライン開催となった中国最大級の貿易商談会「広州交易会」が10日間の会期を終えて閉幕した。
1957年に始まった広州交易会は正式名称を「中国輸出入商品交易会」といい、現在は春と秋の年2回開催されている。閉幕日には主催者が記者会見を開いて契約額などの成果を発表するのが慣例で、中国の輸出産業の景況感を測るバロメーターのひとつになっている。過去10回の広州交易会では、各回の出展企業数が約2万5000社、会場を訪れる海外のバイヤーは19万人前後、期間中の契約額は300億ドル(約3兆2000億円)前後だった。
しかし今回の広州交易会は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によりオフラインの開催を断念。会期を2カ月遅らせたうえでオンラインだけの開催となり、それでどこまで成約を伸ばせるかに注目が集まっていた。ところが主催者は閉幕日に記者会見を行わず、「広州交易会は全体として平穏に挙行され、期待に合致する成果を上げた」というプレスリリースを出しただけで、具体的な契約額などは公表しなかった。
商談はオンラインでも契約は実物を見て
実際の状況はどうだったのか。出展企業の多くは、「オンラインだけで元々のオフラインの商談会を完全に代替するのは難しい」と口をそろえた。商品の宣伝や見込み顧客の獲得、初期段階の商談などはオンラインでも行える。しかし商品の細かい仕様のすりあわせや、生産ラインの実地検分などは依然としてオフラインに頼らざるをえないという。
あるイラン人のバイヤーは、「材料の良しあしは実際に商品を触って確かめないとわからない」と財新記者に語った。彼は生業のカバンを買い付けるために広州交易会に過去20回参加してきたが、長年付き合いのある取引先ならオンラインでも支障なく商談できるものの、魅力のある新製品や信頼できる新しい取引先を探すのは容易ではないようだ。
消費者向けのネット通販とは違い、広州交易会はそもそもプロのバイヤー向けの商談会だ。取引当たりの数量や金額が大きく、それだけにバイヤーも慎重だ。商談がオンラインに移っても、正式契約の前にサンプルを取り寄せ、実物を見て判断するのが大前提なのは変わらない。
逆に言えば、今回の広州交易会の成果を以前と同様に開催期間中の成約額で判断するのは難しい。オンラインには時間や空間の制約がないなど、オフラインにはない長所もある。主催者のスポークスマンによれば、将来の広州交易会ではオンラインとオフラインの深い融合を推進していく方針だ。
(財新記者:黄姝倫、王婧)
※原文の配信は6月25日
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