多忙で孤立「壊れる教員たち」の過酷すぎる現実

若手が上司に相談できず1人ですべて抱え込む

「ベテラン教員の意識改革が必要」と訴える専門家もいる。関西外国語大学外国語学部の新井肇教授もその1人。教員のメンタルヘルスについて研究を続けている。

「教員の仕事は『個業』と呼ばれています。1人ですべてやるという意識が、教育界に根付いているからです。もともと仕事量が多いうえ、ICT教育やプログラミング学習など、新しくやるべきことが次々と出てくる。保護者は教員を学習サービスの提供者としてどころか、子どもの面倒をみる何でも屋、あたかも学校を託児所のように、捉えている。

そうした事柄に対応ができなければ、『力不足だった』という自己責任論で片付けられてしまう。チームプレーで一つひとつ乗り越えていこうといった意識をまずベテランが持たなければならない」

およそ30年間、新井教授は埼玉県の公立高校で教壇に立っていた。その間に、長期派遣教員として、大学院で生徒指導の研究にも取り組んだ。今も、危機介入や研究協力で学校現場に入ることが多いが、そうした経験から言っても、教職の世界では、教員はつねに孤独な状況に立たされており、困ったときに「助けて」と言える職場環境もない。

新井肇教授。取材はオンライン(撮影:フロントラインプレス)

新井教授には、教員になった教え子を自死で亡くした経験もある。

どれだけ残業しても給料が変わらない現実がある

「うつ病から職場復帰して間もなくの出来事でした。そのことが私の研究の出発点になっています。教員のストレスには、人を相手にすることの難しさ、多忙や賃金のあり方、職場の人間関係などが複合的に絡んでいます。職場での孤立には、給特法の影響も大きい。どれだけ残業しても給料が変わらない現実があると、自分の仕事だけに集中し、他人のことには構わないという風潮が生まれてしまう」

「人手不足については、教員を増やすことが先決です。そのうえで、学校が何もかも背負い込むのではなく、部活動など、可能なところは外部へ委託することも必要でしょう。教員を孤立させず、チームで動けるようにするには、『仕事量を減らすことこそが仕事の質を高める』という教員の意識改革と、それを保障するための人材確保という構造的な改革が不可欠です」

<取材:フロントラインプレス(Frontline Press)>

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