「東京で働く」しか頭にない人が気づかない視点 新常態とテクノロジーの進化が地方に活路を開く

印刷
A
A
(出所)『2030年日本の針路』(日経BP)

(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

さらに、ふるさと回帰支援センターへの来訪者、もしくは問い合わせする人の数も年々増えている。ふるさと回帰支援センターは、地方暮らしやIターン、Jターン、Uターンの支援、あるいは、その他地域交流を深める人の支援を行っているNPO法人である。

同センターで開催されるセミナーの数も、来訪者や問い合わせ数の増加に呼応する形で2015年から一段と増えている。こうしたことからも、地方移住への関心が高まりつつあることが垣間見えてくる。

もはや富裕層でなくても2拠点生活

完全に地方に移住するのではなく、片足を都心に残しつつ地方生活を楽しむ人たちは、都市と田舎の「2拠点生活(デュアルライフ)をする人」という意味から「デュアラー」と呼ばれている。

2拠点生活という言葉から、以前は富裕層の別荘や、お金と時間に余裕のある定年退職者がゆったりと過ごす田舎暮らしを想像された人も多いだろう。もちろん、そういった側面がなくなったわけではないが、近年では違う意味合いで2拠点生活をする人が増えている。年齢は20代から30代、収入は決して多くない層によるデュアルライフである。

「小さな子どもがいて、子どもたちを自然に触れさせるために地方ライフを楽しみたい」といった感覚で、2拠点生活をスタートしているのだ。

リクルート住まいカンパニーが実施した「デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態調査2018」によると、デュアラーの年代別割合は20代が29%、30代が29%となっており、若年層がデュアラーの約60%におよぶ。世帯年収は400万円から600万円が18%、600万円から800万円が18%、400万円未満が16%と、800万円以下の世帯が全体の過半数を占めている。富裕層が余裕を持って田舎暮らしをするのとは異なり、若い世代が中心だ。

いわば一般的な普通の人たちが気軽に2拠点生活をするようになってきているのがわかる。

地方都市は元来、土地や住居にかかるコストが低い。これに加えて、生活に欠かせない電気のコストも、太陽光発電や蓄電技術の進化で今後下がる可能性が高い。また、今やパソコン1台あればリモートで仕事をこなし、都会並みの教育やエンターテインメントにもアクセスできる。

2020年春、コロナ禍により在宅勤務を余儀なくされた人の多くは、それを強く実感したのではないだろうか。さらに、5G(第5世代移動通信システム)やxR(空間拡張技術)が本格的に進展すれば、リモートで実現可能なエクスペリエンスの質やカテゴリーが一層増えてくるだろう。ただ、地方都市に住む人は、残念ながらこの事実には気づいていないことが多い。

次ページ30年後、地方の生活コストは東京の約半分
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
ディズニー大転換「入園者数引き下げ」戦略の背景
ディズニー大転換「入園者数引き下げ」戦略の背景
トヨタ初のEV、サブスクで多難な船出
トヨタ初のEV、サブスクで多難な船出
そごう・西武、後釜に「ヨドバシ」が突如登場の衝撃
そごう・西武、後釜に「ヨドバシ」が突如登場の衝撃
ANAとJAL、燃油サーチャージ「空前の高値」の苦悩
ANAとJAL、燃油サーチャージ「空前の高値」の苦悩
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT