「東京で働く」しか頭にない人が気づかない視点 新常態とテクノロジーの進化が地方に活路を開く

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さまざまなテクノロジーをフル活用できるようになる将来において、都市部と地方部の生活コストがどう変化するのか、簡単な試算をしてみた。地方の隅々でテクノロジーの活用・定着が進み、効果が大きく出てくるタイミングとして2050年頃を視野に試算をした。

結論から言うと、現状では1人当たりの生活コスト差は30%で地方部のほうが安いが、2050年頃を想定したシミュレーションでは、生活コストが最大45%まで広がる可能性があり、コスト的には地方のほうが圧倒的に住みやすくなることが予想される(ここでいう都市は東京23区を、地方とは町村もしくは人口5万人未満の市を指す)。

このことは、所得の多寡にかかわらず、より多くの人がQOLを損なわずに持続的に生活することに対して追い風になる。つまり、地方に人を呼び込むうえではテクノロジーの進化を積極的に受け入れ、生活必需コストを最小限に抑えることができるかどうかが、重要な要素になる。

地方部の「食費」は今後、大幅に下がる

支出項目別に見ると、例えば地方部の「食費」は今後、大幅に下がる。コミュニティー構築がしやすく土地の価格が安い地方部においては将来、デジタル化の進展により自動化・工業化が進んだ農業が普及する可能性が高く、専門の農業法人や農家ではなく一般の人でもコミュニティーで集まって、ある程度の農業生産を行うことが容易になる。

さらには、テレワーク・在宅勤務を前提としたフリーランスが増え、職場の飲み会やランチでの外食機会が減少。デジタル技術によるマッチング率の向上や保存技術の向上により、コミュニティーでの食材の一括購入や、調理のシェアリングを通じた調達コスト低減、さらには地域コミュニティー間における余った食材のシェアリングなどにより、地方においては食費がかなり低下する。

つまり、自給自足とまではいかなくても、地域コミュニティー間で自足のような状況が増加すると想定される。

試算の結果、都市部は食費が17%増加するが、農業にかかる初期投資分などを加味しても、現在ですら都会部より32%安い地方が2050年頃にはさらに17%安くなる。その差は52%に広がると予測される。

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