コロナ禍で急成長「独立系ネット書店」の正体 「ブックショップ」は第2のアマゾンになるか
インディバウンドも同様のアフィリエイト販売プログラムを持つが、目下、ブックショップと運営の統合を進めている(ブックショップで直接販売される本やアフィリエイト経由で販売される本については、定価の10%が利益としてプールされ、独立系書店に分配される。同サイトの利益プールには、これまでに約100万ドルが注ぎ込まれた)。
サイトの立ち上げは、実店舗に壊滅的な打撃を与えたパンデミックの発生とほぼ重なった。アメリカ商務省が先日発表した統計によると、4月の書店売上高は2億1900万ドルに急落し、2019年4月から65%以上も減少した。今年1〜4月の4カ月間を見ても、前年同期比で23%の落ち込みとなっている。
殺到する注文を自力でさばくには限界
書店の中には、ぎりぎり持ちこたえているところもある。ネブラスカ州カーニーにある「シークウェル・ブックショップ」のオーナー、リサ・ニューハイゼル氏は、3月22日に店を休業したが、オンライン販売の方法がなかった。
ブックショップに自分の店のページを作ったのは、ほかの書店がフェイスブックの投稿でブックショップにリンクを張っているのを見かけたからだ。4〜5月の売り上げの約半分はブックショップからのもので、残り半分はカーブサイド・ピックアップだったそうだ。「こうした売り上げが当店の生命線になっている」とニューハイゼル氏は語る。
1年ほど前にシカゴで書店「セミコロン」を開店したダニエル・ミューレン氏は3月半ばにブックショップに加入した。4月から5月にかけての約1800件の注文の約70%がブックショップ経由だったという。「これで店を畳まなくても済むかもしれない。とにかく事業を続けていくのに必死なんです」。
ブックショップを通じたセミコロンの売り上げはこのところ急増している。人種や差別に関する本を探し求める読者、黒人が経営する会社を支援したいと考える読者が増えたためだ。セミコロンはブックショップを通じて6月、こうしたテーマの本を数日間でおよそ3万冊販売した。殺到する注文を自力でさばくのは難しかっただろう、とミューレン氏は語った。
ブックショップは独立系書店の敵か味方か──。サイトが成長するにつれて、そんな議論が持ち上がっている。
(執筆:Alexandra Alter記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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