コロナ禍で急成長「独立系ネット書店」の正体

「ブックショップ」は第2のアマゾンになるか

店舗が再開し、客が実店舗やカーブサイド・ショッピング(商品の受け取りサービス)に戻った後も、ブックショップが存続可能なプレーヤーであり続けるかどうか疑問視する声は少なくない。一方、オンライン書籍販売で約70%ものシェアを占めるアマゾンは、世界最大のネット通販企業として一段とその存在感を強めている。アマゾンの1〜3月期の売上高は755億ドルへ、前年同期比で26%も拡大した。

パンデミック後の成長可能性についてハンター氏は強気だ。アメリカ小売書店協会(ABA)には1880を超す加盟店があり、うち約40%がブックショップを利用し始めている。顧客拡大の余地も残されている。調査会社コーデックス・グループが4月下旬に実施した4000人を超す調査によると、独立系店舗で本を購入する人のうちブックショップの存在を耳にしたことがある人はわずか21%にとどまる。

「サイトが魅力的で、コロナ危機を越えて長続きするなら、書店の繁栄に本当に役立つはずだ」とハンター氏は話す。

「業界の救世主」の評判に腹立てる書店

もっとも、誰もがブックショップを味方と考えているわけではない。先日、ABAがリモートで開催した会合では、書店が売り上げの確保に苦しんでいるときにブックショップは売り上げを横取りしているのではないのか、と疑問を呈する声も上がった。ハンター氏は、このサイトはアマゾンから本の売り上げを取り戻すために作られたもので、独立系書店から売り上げを奪うものではない、と述べた。

「独立系書店の販売に何らかの形で悪影響が出ていると感じた場合には方向転換する」。出版情報誌『パブリッシャーズ・ウィークリー』は、ハンター氏がそう語ったと報じている。

ブックショップが業界の救世主と持ち上げられるのを見て腹を立てる書店オーナーもいる。

「このサイトが書店を救っていると考えるのは危ない」と語るのは、カリフォルニア州オークランドにある独立系書店「イースト・ベイ・ブックセラーズ」のオーナー、ブラッド・ジョンソン氏だ。「少しでも書店を助けたいという気持ちがあるのなら、書店に直接注文を出すべきだろう」。

ジョンソン氏はブックショップにもページを持っているが、自分の店のサイトを通じた直接販売が中心で、ブックショップにとどまる可能性は低いと話す。同氏はブックショップが「書店主にとって、中央集権的な、もう1つの大敵」になることを危惧している。

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