年明けのまだ寒い時期。東京・浅草橋の老舗居酒屋で出版業界のフリーランサーである吉田瑠璃子さん(仮名、51歳)と会った。瑠璃子さんと筆者は以前からの知り合いで、年賀状を交換する間柄だ。今年の年賀状には結婚報告が書いてあった。昨年末、ジャスト50歳で初めての結婚を果たしたらしい。
相手は同じくフリーランサーの義行さん(仮名、50歳)。仲良く晩酌をしたり銭湯に行ったりしているという。めでたい。お祝いを兼ねて取材を申し込んだ。なお、インタビュー場所は食と酒が大好きな瑠璃子さんのセレクト。安くてうまいお店らしい。しめサバや卵焼きを注文して1杯やりながら話を聞くことにした。
相手に求める条件は一見低いが…
「18歳のときに九州から上京したので、1人暮らしはとっくに飽きていました。でも、40歳の頃に母親が勝手に結婚相談所に登録しそうになったときは猛烈に反発しましたね。見ず知らずの人なんて信頼できないから。それからは『ひとり婚活』をしていました。信頼している友人に『誰か紹介してくれ』と頼みつつ、好きなイベントや飲み屋に1人で参加する活動です」
瑠璃子さんはショートカットで笑顔が魅力的な女性である。よくしゃべり、よく聞き、よく笑う。酒場では「ダメなおじさんたちからモテる」らしい。そんな瑠璃子さんが「見ず知らずの人は信頼できない」とは意外だった。あっけらかんとした雰囲気だが、やや複雑な内面を抱えているようだ。
「女友達と遊んだ後、その人たちはそれぞれの旦那さんがいる家に帰るのに私だけ独りぼっち。寂しいなとは思っていたし、結婚生活ってどんなんだろうと好奇心もありました。でも、あまり構われるのは嫌なんです。サプライズのプレゼントみたいなことをする男性も苦手。私はいわゆる女子的なノリではありません。1人でいることが好きだけど一緒にお酒を飲めるような人が好きですね。年齢や収入は問いません」
人間関係や食事に関する感覚が自分と似ている人でないと無理、という意味だろう。結婚の条件が低いようで高い女性である。ただし、瑠璃子さんには賢さと行動力があった。自分の好みに合うイベントに積極的に参加することで、価値観や感覚が似ている独身男性と巡り合う確率を高めたのだ。
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