中国人の「爆買い」再燃、巨大ECセールの舞台裏 ライブコマースも駆使し消費者を取り込む

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これだけの消費を生み出した大きな原動力が、アフターコロナの消費起爆剤として配られる電子クーポン「消費券」だ。地方政府やEC企業は3月から、モバイル決済アプリ「アリペイ」などを通じて消費券を発行してきた。

Tモールは今年の618セールで地方政府、出店ブランドと組んで140億元(約2200億円)を超える消費券や店舗への補助金をばらまいた。Tモールによると消費券はサイト内の20万店舗以上で使われたという。

アリババ創業者のジャック・マー氏は新型コロナウイルスの流行を機に、「すべてのビジネスをデジタル化する必要がある」と訴えるようになった。その言葉を反映するように、アリババ子会社で出前アプリを展開する餓了麼(Ele.me)に加盟する飲食店100万店超も618セールに参加し、そこでも消費券が投入された。

消費券はアリババだけでなく、大手EC企業が軒並み取り入れ、また、値引き合戦も激化した。蘇寧易購は「JD.comより10%安く販売するキャンペーン」を実施、例年より値引き幅が拡大したiPhoneも飛ぶように売れた。

セールに合わせ香港に上場したJD.com

一方で、618セールの本家、JD.comの6月18日までの取引額は前年同期比33.6%増の2692億元(約4兆円)で、Tモールに遠く及ばない。とはいえ、JD.comは今回のセールで売り上げ以外の話題をいくつも提供し、存在感では見劣りしなかった。

1つ目の話題は、同社の設立日でもある6月18日に、香港市場への重複上場を果たしたことだ。アメリカで上場する中国企業の間では、2019年から「香港回帰」が起きている。ニューヨーク市場で上場しているアリババは同年11月に香港で“里帰り”上場した。

2020年は新型コロナの拡大で米中対立が深まり、リスクヘッジ目的で香港に重複上場する動きは加速している。6月11日に中国2位のゲーム企業ネットイース(網易)が、そして18日にはナスダックに上場するJD.comが香港への里帰りを果たした。

JD.comは上場初日に300億香港ドル(約4200億円)を調達し、香港市場で今年最大のIPOとなった。アリババよりも物流網に力を入れ、ドローン配送や無人配送などにも早くから取り組んできたJD.comは、新型コロナ拡大期の中国でも配送面で強さを示し、再評価された。

アリババのライバルと言われながらも、万年2位の座にとどまってきた同社だが、2020年前半は明るい材料が多く、投資家の評価も上昇中だ。

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