EC企業の戦いだった618セールに、新たなプレイヤーが参画し、「4大ECプラス2大ショート動画アプリ」のお祭りになっていることも、今年の特徴だ。
日本では緊急事態宣言で宿泊施設や飲食店が営業制限を受ける中、行き場のなくなった食材を消費者に直接販売するプラットフォームが注目されたが、中国は「ライブコマース」がその役割を担った。テレビショッピングのネット版のようなイメージで、アリババのEC特化型ライブ配信サービス「タオバオライブ」などが既に若者層で浸透していたが、コロナ禍で発信者が農民、政治家、経営者に広がった。
Tモールは618期間中、300人以上のタレント、約600人の経営者がタオバオライブに参加。番組表のようなスケジュールも公表され、6月1日だけで51億元(約770億円)の売り上げにつながった。Tモールの6月19日の発表によると、セール期間中のライブ配信開催回数は前年比123%増加し、男性配信者と30代配信者が増えたという。
ライブコマースの注目が高まる中、5月下旬にはJD.comとショート動画アプリの快手(Kuaishou)が提携を発表し、話題を集めた。快手は海外でTikTokを運営する「抖音(douyin)」に次ぐ業界2位。618商戦を前に、業界トップを追撃する共通目的のために、2位連合が誕生したのだ。
EC2位とショート動画2位がタッグを組む
両社は6月16日、「ダブル100億元クーポン」を配布。快手のインフルエンサーが宣伝したJD.comの商品を購入すると、両社からそれぞれ値引きを受けられるサービスなどを展開し、人気ゲーム端末の任天堂スイッチもクーポンの対象になった。
快手はさらに618に合わせ、人気女優・張雨綺(キティ・チャン)をアンバサダーに起用した。彼女は16日に快手でライブコマースを開催、iPhone11を定価より400元(約6000円)安く販売し、4時間で2万2500台を売り上げた。
とにもかくにも話題が尽きなかった2020年の618セール。JD.comと快手の2位連合のほかにも、農村や低所得者をターゲットにシェアを急拡大している拼多多、そして動画アプリの抖音も大規模なプロモーションを行った。
アフターコロナの重要な指標となった618セール。取引額だけを見ればアリババの一人勝ちではあるが、「アリババ王国の切り崩し」という視点でも、さまざまな試行錯誤が見られた。秋の独身の日のセールでは、アリババ包囲網がさらに強化されるのかもしれない。
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