突飛なうそにだまされる人と見抜く人の決定的な差 弁護士が指南「真実は多数決では決まらない」

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ウソを見破らなければならない職業はいくつかあるが、弁護士もその1つだ。

「実は、大学の法学部ではウソの見抜き方(事実認定)はほとんど教えてもらえません。法学部の先生は法廷に立ったことがない人が大多数です。事実認定について学ぶのは司法試験に受かった後に経験から学んでいきます」

つまり“ウソの見抜き方”を知るのは法律関係者の中でも一部(法曹三者)になる。

そもそも事実認定は一般市民のためにあるので、なるべくわかりやすく多くの人に伝えたいと深澤さんは思っている。

深澤さんも若い頃にはウソに泣かされることもあったが、喋り方や雰囲気だけでウソを言っているかどうかわかるようになってきたという。

弁護士ドラマなどでは、

「いちばん大事なのは依頼人を信じること」

と言うことが多いが、依頼人もウソをつくことはあるという。

「弁護士として開業した当時は『着手金0円』とうたっていました。そのため、ウソの相談を持ちかける人もたくさんいました。例えば嫌がらせのために、貸してもいないお金の返済を求める、などですね。それらの経験で、ずいぶん成長することができました。

弁護士の深澤諭史さん(写真:本人提供)

もちろん基本的に依頼人のことは信じています。ただ信じることと確認することは両立します。信じるために補強証拠を集めるというのも矛盾しません。

依頼者をただ無批判に信じて右から左へ流すだけだったら、そもそも依頼者は弁護士を依頼する必要がありません。裁判では、依頼者のことを裁判所に信じてもらわなければなりません。ちょっとでも疑問に思うことは、依頼者に伝えるようにしています」

弁護士から見たウソをついている人の言動の特徴6選

ちなみに深澤さんが弁護士の立場から見て、ウソをついている人の言動の特徴を箇条書きに並べると、

①質問と答えが一致しない。

②質問に端的に答えず、前提や動機など聞かれもしない理由付けを延々と話す。

③ほかならぬ「自分の行動と記憶」を質問されているのに、なぜか「普通の人」(一般例)の話をする。

④自分の記憶だけで答えればいいのに、なぜか証拠の有無や内容を熱く語る。

⑤自分の行動の内容や理由を聞かれているのに、相手方の性格とか評判を語りたがる。

⑥証明ができるかどうかではなく、自分が信じてもらえるかどうかに強い関心を抱く。

以上の6つが上げられるという。

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