突飛なうそにだまされる人と見抜く人の決定的な差 弁護士が指南「真実は多数決では決まらない」

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“不安”には多くの人の感心が引き寄せられるという。現在はインターネットが普及し、より心が不安になる情報を入手しやすくなった。

そして、不安に触れていると心が弱る。結果的にウソに対しての抵抗力が下がる。

「この記事を読んでいる多くの方たちは、

『自分は大丈夫だ』

と思っているのではないでしょうか? それは間違いではありません。通常、そう簡単にウソにはだまされません。ただ普段の自分はだまされないかもしれませんが、不安で心が弱っている自分は案外簡単にだまされます。

また、不安以外では“欲望が刺激されているとき”もだまされやすいです。

『自分は大丈夫だ』と思っている人もタイミングが悪ければ、簡単にだまされます」

例えば悪質な宗教団体は、親族が亡くなって心が弱くなっている人をターゲットにする場合が多い。

人生上手くいって幸せな人に、

「あなたの背後には悪霊がついているので、お布施を100万円しなさい」

と言っても、買う人はいない。

心が弱っているからこそ、“溺れる者は藁をもつかむ”で、わかりやすいウソでも信じてしまうのだ。

「心が不安に満たされているときには、一旦立ち止まって、

『今の自分はだまされやすい心理状態にある』

と認識するようにしていただきたいです。それだけでだまされる可能性はずいぶん下がると思います。

もし不安から逃れるために何か行動を起こそうとしているなら、少し手を止めてみたり、もう一度考え直してみるのもいいと思います」

だまされやすいウソの典型は「面白い」ということ

皆がだまされやすいウソというのはどのようなものなのだろうか?

「だまされやすいウソのいちばんの要素は、そのウソが『面白い』ということです。面白いウソは、つまらない真実よりも、世間に広がりやすいです。インターネット時代になり、その傾向はより強くなっています。多くの人が知っているからと言って、それが真実とは限りません。真実は多数決では決まりません。

そして、話がわかりやすければわかりやすいほど、単純であれば単純であるほど、都合がよければよいほど、ウソである可能性が高くなります。

耳あたりのよい、面白い話には、つねに眉に唾をつける必要があります」

昨今、暗いニュースや、不穏なニュースがたくさん流れている。

目を通しているうちに、心が不安で満ちてしまう人もいるだろう。

そんなときは「自分はだまされやすい状態にある」と認識して、飛びつくのは避けたほうがいいだろう。

安易に信じてしまうことで、人生を台無しにしてしまうウソもあるのだ。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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