7月デビュー、「N700S」の見逃せない車内設備 全席コンセント以外に、足元や頭上も進化

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5)700系が“生まれ変わった”荷棚

普通車の荷棚こそ最大の“隠れ注目ポイント”かもしれない。というのもN700Sの荷棚はすでに東海道新幹線から引退した「700系」などの廃材からできている。さらっと書いてしまったが、JR東海担当者の説明によれば、これは容易なことではないそうだ。

到着前に照度があがる荷棚(筆者撮影)

新幹線の車両はボディ部分から内装パネル、床下の機器を吊る梁(はり)まで、基本的にアルミの合金でできている。ただし部位によって求められる性能が違うため、それぞれ異なる合金種別を使っている。新幹線車両を廃車する際にスクラップしたものは、さまざまな合金種別が混ざってしまっているので新幹線など鉄道向けに再利用することは難しく、社外へリサイクル(売却)していた。

700系が生まれ変わった

今回、700系・N700系の廃車アルミ材をスクラップした後、レーザーを使い特定の合金種別を判定する技術を関係各社と協力して開発。特定の合金種別だけを抽出して溶解・成形のうえ、N700Sの荷棚や荷棚下パネルに加工した。この“新幹線から新幹線へのアルミ水平リサイクル”は、高速鉄道として世界初の取り組みだという。東海道新幹線から引退した700系は形を変えて、再び走り続けるというわけだ。

N700Sは7月1日に4編成が運行開始予定だ。N700Aと一体での運用となるが、N700Sに狙って乗りたいという人も多いだろう。JR東海によれば「東海道新幹線運行情報ツイッターなどで、前日に知らせることを検討している」(東京広報室)とのことだ。ただし、デビュー当日分は混雑防止のために事前公表をしない。

もしN700Sに乗る機会があれば、今回紹介したような細やかな進化点にもぜひ注目してほしい。

福岡 誠 鉄道新聞 編集長

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ふくおか まこと / Makoto Fukuoka

インターネット新聞「鉄道新聞®」編集長。1984年生まれ、慶應義塾大学商学部卒。幼稚園の窓からさまざまな電車が見えるという立地のよさの影響で鉄道のとりこに。以後現在に至るまで30年以上にわたり鉄道ファン。15歳でモバイルサイトを運営、16歳から鉄道ニュースメディアを運営。もっともっと多くの人に鉄道旅の楽しさを知ってもらうべく、全国を旅してネットメディアで布教を続ける。伊豆急行の観光大使「伊豆急オモシロ駅長」も務める。

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